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[キーワード] 地球温暖化、気候安定化シナリオ、温暖化影響評価、影響関数、統合評価モデル

[S-4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の
総合的評価に関する研究]
1.統合評価モデルによる温暖化の危険な水準と安定化経路に関する研究

(1)統合評価モデルを用いた温暖化の危険な水準および温暖化抑制目標に関する研究[PDF](414KB)

※平成20年度より研究体制が再編されため、旧(1)温暖化抑制目標に関する既存知見
の整理と、評価基準・評価手法の検討、旧(3)統合評価モデルを用いた温暖化の危
険な水準および安定化経路の評価に関する研究、が統合された。

 独立行政法人国立環境研究所

 

 社会環境システム研究領域 統合評価研究室 

肱岡靖明

 社会環境システム研究領域 統合評価研究室

増井利彦

社会環境システム研究領域 統合評価研究室

花崎直太

 地球環境研究センター 温暖化対策評価研究室

亀山康子

 社会環境システム研究領域 環境経済・政策研究室

久保田泉

  [平成17〜21年度合計予算額]76,918千円
(うち、平成21年度予算額 26,192千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  気候変動枠組条約では、その究極目標として「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすことにならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を挙げ、また「そのような水準は、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、経済開発が持続可能な態様で進行できるような期間内に達成されるべきである」と示している。この目的を達成するためには、温暖化の科学的知見の集積と総合化を通じて目的達成に向けた方策の検討を行う必要がある。本研究では、安定化目標と目標達成のための緩和策、目標下における影響とリスク軽減のための適応策を評価するための統合評価モデルAIM/Impact[Policy]の開発・改良を行うと共に、サブサブテーマ(2)から提供される影響評価関数(世界)、S-4-2(1)〜(5)から提供される影響関数(日本)の統合評価モデルへの実装し、安定化シナリオ下における影響評価を実施した。日本を対象とし、BaUおよび2つの安定化シナリオを用いて、@洪水による氾濫面積及び被害コスト、A土砂災害による斜面崩壊発生確率及び被害コスト、Bブナ林の適域への影響及び被害コスト、Cマツ枯れ危険域の拡大、Dコメ収量への影響、E砂浜喪失面積の拡大及び被害コスト、F高潮浸水面積の拡大、被災人口及び被害コスト、G熱ストレス死亡リスク及び被害コスト、の8つの指標について温暖化影響を定量的に評価した結果、いずれの指標においても、低いGHG濃度で安定化させるほど悪影響が低減されるが、最も低いレベル(温室効果ガス濃度を450ppm)で安定化させるシナリオにおいても、なんら対策を講じない場合には悪影響を被る可能性があることが示された。