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[キーワード]生活行動、リスク認知、重要度・満足度分析、消費者受容性、共分散構造分析

[RF-087 日常生活における満足度向上とCO2削減を両立可能な消費者行動に関する研究]

(2)生活行動に対する受容性と実践阻害要因分析[PDF](501KB)

芝浦工業大学工学部

栗島英明

<研究協力者>

 

産業技術総合研究所 安全科学研究部門

工藤祐揮・井原智彦

  [平成20〜21年度合計予算額] 4,538千円(うち、平成21年度予算額 2,251千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  本研究では、消費者が何らかの価値を見出して自発的に実践すると考えられ、かつ温室効果ガス排出量削減につながる可能性のある代替行動の提案を行うため、消費者アンケートやグループインタビューを実施し、代替行動の受容性と実践阻害要因を検討した。平成20年度は、消費者の地球温暖化問題に対するリスク認知を他の社会経済的リスクに対する認知と相対的に比較できる形で把握した。また、消費者の要望・不満解消につながる消費行動を検討するため、様々な生活行動の重要度・満足度分析(Importance - Performance Analysis)を行い、消費者が強く改善を求める行動を抽出した。さらに、「クールビズ」「カーボンオフセット」「省エネ家電への買い替え」「近距離の自動車移動の制限」の4つの具体的な環境配慮行動について、その実践メカニズムをモデル化し、共分散構造分析を用いてモデルの妥当性や行動実践の規定因を明らかにした。平成21年度は、平成20年度の成果と本研究課題の他サブテーマの結果をもとに、低炭素型生活行動として「ほとんどの買い物を店頭購入から宅配に変える(宅配)」「野菜や果物、魚介類などはできるだけ旬のものを食べる(旬のものを食べる)」「3人世帯以下の場合には中食の日を週に1日増やす(中食)」「普段の生活や余暇にウォーキングやサイクリングなどの適度な運動を取り入れる(適度な運動)」の4つの具体的な行動を抽出した。そして、抽出した4つの行動の受容性を検討するとともに、行動者のデモグラフィック属性やライフスタイル志向を考慮した行動実践モデルを作成し、共分散構造分析を用いてモデルの妥当性や行動実践の規定因を解析した。その結果、「適度な運動」「旬のものを食べる」は約7〜8割の消費者が受け入れる一方で、「中食」は半数、「宅配」は2割程度にしか受け入れられなかった。「宅配」は価格の高さや受け取りの困難さ、「中食」は食の安全性や味、栄養面などへの不安が阻害要因となっていることが明らかとなった。