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[RF-084 アンチモン同位体比に基づくバングラデシュの地下水ヒ素汚染の起源解明]

(2)アンチモン同位体比に基づくヒ素の地下水汚染の起源解明[PDF](553KB)

広島大学大学院理学研究科
地球惑星システム学専攻

高橋 嘉夫

独立行政法人海洋研究開発機構高知コア研究所
同位体地球化学研究グループ

谷水 雅治

<研究協力者>

 

静岡県立大学環境科学研究所

光延 聖

広島大学大学院理学研究科

白石 史人 (現日本学術振興会PD)

広島大学大学院理学研究科

板井 啓明 (現愛媛大学沿岸環境科学研究センター)

広島大学大学院理学研究科

浅岡 聡

 広島大学大学院理学研究科

荒木 祐介

  [平成20〜21年度合計予算額] 15,905千円(うち、平成21年度予算額 7,865千円)
※上記21年度の予算額には、間接経費1.815千円を含む

[要旨]

  本研究では、アンチモン(Sb)の同位体比を用いてヒ素(As)の起源が推定できるかどうかの検討を行った。環境中でSbとAsの挙動が類似し、かつ硫化物のようなAsの起源物質中のSb同位体比(123Sb/121Sb)が通常の環境試料などに比べて有意な差があれば、硫化物鉱床由来のAs汚染の起源を解明するトレーサーとしてSb同位体比を利用できる可能性がある。本サブテーマでは、国内モデルサイトを用いて実際の天然系でのSbとAsの挙動の類似性を調べ、さらにいくつかの試料についてSb同位体比測定を行い、Asの起源解明にSb同位体比を用いるための基礎検討を行った(研究@)。また、ここで問題となったSbが示す環境化学的挙動の素過程を、放射光を用いたX線吸収微細構造法(XAFS法)を駆使して調べた。これらの結果から、少なくとも限定された地域ではSb同位体比を用いたSbの起源推定、さらにはAsの起源推定が可能であることが分かった。これらのことをベースに、同様の手法をヒマラヤ-ガンジス川-バングラデシュヒ素汚染地域系に適用するために、これらの地域の調査を行い、得られた試料の基礎的なキャラクタリゼーションを行うと共に、AsとSbの移行挙動の比較を行った(研究B)。さらに、本研究で対象としたバングラデシュのヒ素汚染地域であるシャムタ村の堆積物コア試料の分析結果を示した。これらのうち特に国内モデルサイト(愛媛県市之川鉱山周辺)における研究では、XAFS法による検討から、SbおよびAsのいずれもが河川水-堆積物系および水-土壌系において水酸化鉄への吸着によって水相から除去され、価数は両元素とも5価で存在していた。このことから、両元素が類似した化学的プロセスを受け、河川のような比較的酸化的な環境では、SbとAsは類似の挙動を示すことが示唆された。さらにサブテーマ(1)の手法を用いて同様の試料についてSb同位体比を予備的に測定した。その結果、少なくとも河川系においてはSb及びAsが酸化的な環境の河川水中で比較的保