検索画面へ Go Research



[キーワード]水循環、同位体、気候モデル診断、海洋観測、気候モデル相互比較

[RF-083 水安定同位体トレーサーを用いた気候モデルにおける水循環過程の再現性評価手法の開発]

水安定同位体トレーサーを用いた気候モデルにおける水循環過程の再現性評価手法の開発[PDF](503KB)

独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境変動領域 北半球寒冷圏研究プログラム

栗田直幸

<研究協力機関>

 

米国 Los Gatos Research 社

Douglas Bear

同上

Feng Dong

 米国 コロラド大学

David Noone

  [平成20〜21年度合計予算額] 14,360千円(うち、平成21年度予算額 7,080千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  水の安定同位体トレーサーを用いた気候モデルの水循環診断研究を行う目的で、以下の4つの研究を実施した。(1)気象スケールの議論ができる全球規模の同位体観測データ収集および観測の実施、(2)同位体トレーサーの時空間変動を支配している因子を特定し、同位体情報を水循環情報への翻訳、(3)気候モデルに導入する同位体過程を他の気候モデルと共通化し、モデルの相互比較実験を実施することで、今回開発した同位体気候モデル結果の妥当性の検証、(4)現在気候の再現実験で得られた同位体分布を観測値と比較し、その時空間分布の再現性から、気候モデルが同位体を支配している水循環因子の再現性検証。これらの研究成果から、モデル物理過程の不完全性に基づく不確実性が高い熱帯地域において、その不確実性を高めている原因の探求が、同位体トレーサーを使って特定できることを示し、現在の気候モデルで問題になる、不確実性の高い積雲パラメタリゼーション決定において、同位体トレーサーを使った決定法が有効であることを示した。また、高緯度域では、同位体トレーサーは、南北水蒸気輸送のよい指標であり、北極振動等の気候変動に伴う水蒸気起源・輸送過程の再現性検証ツールとして用い得ることを示した。これらは、気候システムモデルの改善に非常に有効な知見であり、本課題を通じて温暖化予測の高精度化に貢献し、我が国の温暖化政策に資すると期待できる。