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[キーワード] CO2、公共交通、土地利用、公共交通指向型開発、交通戦略

[H-072 持続可能な国土・都市構造への転換戦略に関する研究]

(4)国土・都市戦略を支援する交通システムの詳細検討[PDF](435KB)

 宇都宮大学大学院 工学研究科 地球環境デザイン学専攻

森本章倫

<研究協力者>

 

宇都宮大学大学院 工学研究科 生産・情報工学専攻

大門 創(平成19年度)

宇都宮大学大学院 工学研究科 地球環境デザイン学専攻

吉儀和恭(平成20〜21年度)

  [平成19〜21年度合計予算額] 7,868千円(うち、平成21年度予算額 2,394千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  運輸部門のCO2排出量を長期的に削減するためには、自動車依存型交通体系からの脱却が急務であり、無秩序に拡散した土地利用の見直しが必要である。本研究では、地球温暖化防止・及び気候変動への適応を含む持続可能な国土・都市の計画理念として提案する「スマート・シュリンキング」を実現するための土地利用・交通パッケージ施策を提案する。具体的には、公共交通指向型開発(TOD:Transit Oriented Development)と公共交通整備の組み合わせによる分散集中型地域構造の形成可能性及びCO2削減効果を評価し、日本における推進方策を検討する。
  まず、国内外におけるTOD施策を把握し、日本におけるTOD施策実施の可能性及び問題点を把握した。知見として、公共交通利便地域の再開発や住み替えを促すインセンティブが必要であるが、日本においてはその制度が不十分であることがわかった。そこで、TOD実現のための住み替えインセンティブを検討するために、余命までの間に利用する残存モビリティ「モビリティ残存価値」という新しい概念を定義し、それに居住地選択モデルの説明変数を組み込むことで、当該概念に対する住民の認識の是非を検討した。結果、住民は居住地選択の際に、現時点のモビリティのみ考慮し、将来を見据えたモビリティの変化まで意識が及んでいないことがわかった。
  次に、都市レベルの検討として、都市域の集約が環境及び都市財政に与える影響について分析した。その結果、都市をコンパクトにすることでAU(Business As Usual)シナリオに比べて環境・財政共に良好になることが明らかになった。その後、地区レベルの検討として、軽量軌道交通(LRT:Light Rail Transit)の導入およびTOD実施による局地的混雑の影響を把握した。LRT導入は都市レベルでは環境負荷が削減するものの、導入路線では車線縮小による道路混雑が発生することを定量的に示した。一方で、LRT及びTODの魅力度を向上することで自動車からの転換が期待され、転換率によって局地的にも環境負荷抑制の可能性を明らかにした。