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[キーワード] ヴィジョニング、クロス・アセスメント、コリドー、ボーモル・オーツ税、バックキャスティング

[H-072 持続可能な国土・都市構造への転換戦略に関する研究]

(2)都市圏土地利用戦略の詳細検討[PDF](436KB)

 香川大学
工学部 安全システム建設工学科

土井健司

<研究協力者>

 

名古屋大学 エコトピア科学研究所

奥田隆明

香川大学 工学部

紀伊雅敦

  [平成19〜21年度合計予算額] 7,994千円(うち、平成21年度予算額 2,520千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  本研究では、都市交通の低炭素化、市民生活の利便性向上、公共交通の採算性向上という3つの価値規範から持続可能な都市交通政策を立案するためのヴィジョニングモデルを構築し、全国269の都市雇用圏での分析に基づき、望ましい都市の「かたち」を実現するための土地利用・交通の統合戦略を検討している。その結果、CO2削減の取り組みが利用者便益の向上や公共交通の採算性向上にも寄与しうることを検証した。また、高松都市圏における詳細分析の結果、多核連携型の都市構造の実現によって、現状の都市構造よりも1.6倍のCO2排出削減が可能となるこ
とを示した。また、市民生活の利便性の観点からは、多核連携型よりもコリドー型の都市構造において利用者便益が増加することが捉えられた。
  加えて、都心をはじめとする集約拠点への再集積を促すための方策を検討するために、詳細レベルおよび都市圏レベルの土地利用モデルを開発した。
  詳細土地利用モデルでは、ヴィジョニングモデルと同じ1km2グリッドの空間解像度をもつマルチ・エージェント型の土地利用モデルを構築し、居住誘導を促すための交通戦略、エリアマネジメント手法、それを財務的に可能とするビジネスモデルをグリーンBIDとして提案した。
  また、都市圏レベルでは、CO2排出量を削減するためには集約拠点への居住誘導と同時に、新しいライフスタイルを支えるインフラへの投資が必要である。そこで、その妥当性を評価するため、便益計測モデルを開発した。モデルを名古屋都市圏に適用し、名古屋市営地下鉄4号線を対象にし
た便益計測を実施した。分析の結果、CO2排出削減目標が厳しくなるに従って都心部や鉄道サービス水準の高い地域に人口を集約させる必要があり、これに伴って名古屋市営地下鉄4号線のような都心部における鉄道投資の便益が次第に大きくなることが明らかにされた。