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[キーワード] 植生回復、環境修復技術、野外実験、潅木、看護効果

[G-071 北東アジアの草原地域における砂漠化防止と生態系サービスの回復に関する研究]

(3)植生回復過程における環境修復効果と種間相互作用の解明[PDF](428KB)

 岡山大学 環境学研究科

吉川賢・坂本圭児

<研究協力者>

 

岡山大学

廣部宗・山田義裕・音田高志・近藤順治・
Sergelenkhuu Jambal・平田由貴・片岡正彬・原田実穂

東京大学

佐々木雄大・吉原佑・星野亜季・宮坂隆文・宮森映理子

 モンゴル農業大学

Undarmaa Jamsran

  [平成19〜21年度合計予算額] 24,191千円(うち、平成21年度予算額 7,727千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  本サブテーマでは、各種環境修復技術(植栽、草方格等)の適用効果を把握し、植生回復過程(key process)における種間相互作用を野外条件下で解明することを目的とする。そのため、緑化等(禁牧を含む)環境修復履歴の明らかな地点を調査区として設定し、植生および土壌調査を行ったうえで植生・土壌回復のパターンの定性的・定量的把握を行い、key processの現地での把握および、key speciesの移行に関わる環境修復効果と制限要因の推定を行った。
  砂地においては、1996年に設置された植生回復試験区等で調査を行い、潅木からイネ科草本へ移行するkey processが把握された。また、緑化技術の適用が種の侵入・定着を促進すること、潅木の看護効果が成長段階によって異なること等が明らかになった。回復プロセスに関わる要因として、潅木の植栽年数および、シードソースからの距離が示唆された。
  ゴビステップにおいては、2005年に設置された牧柵内外の調査により、禁牧による現存量回復の効果は認められたが、禁牧初期の回復速度は緩慢であった。また、優占灌木であるCaragana microphyllaの分布と放牧圧の関係、土壌化学性との関係等についての調査により、灌木によるマウンド形成が土壌化学性の空間的不均質性の増大に寄与していることが明らかになった。
  森林・典型ステップにおいては、1992年以降土地利用が制限されている保護区内で放牧地および耕作放棄地を対象に調査を行った。その結果、広葉草本からイネ科草本へ移行するkey process が確認され、Leymus chinensisはイネ科草本の中でも先駆性が高いことがわかった。また、高い塩濃度が同地域での植生回復を阻害することが示唆された。
  さらに、木本植物の導入試験により定着条件および効果的な修復手法を明らかにするとともに、高木・潅木植栽による看護効果の差異を比較し、高木植栽は灌木植栽に比べ、下層植生の質的・量的回復をより強く促進することを明らかにした。