検索画面へ Go Research



[キーワード]リモートセンシング、植生回復ポテンシャル、生態系モデル、シナリオアセスメント、費用対効果

[G-071 北東アジアの草原地域における砂漠化防止と生態系サービスの回復に関する研究]

(1)植生回復ポテンシャル評価および生態系再生予測モデルの構築[PDF](426KB)

 東京大学大学院農学生命科学研究科

大黒俊哉・武内和彦・大久保悟・岡安智生

<研究協力者>

 

東京大学大学院農学生命科学研究科

佐々木雄大・吉原佑・星野亜季・宮坂隆文・
宮森映理子

 モンゴル農業大学

Undarmaa Jamsran

  [平成19〜21年度合計予算額] 56,461千円(うち、平成21年度予算額 17,683千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  本サブテーマでは、(1)植生分布の空間配置および自然立地条件から、植生回復ポテンシャルを面的に評価し地図化する手法を開発すること、(2)植生回復を予測する生態系モデルを作成し、最適かつ効果的な緑化・環境修復のための技術パッケージを検討することを目的とする。
  生態系モデルの適用を考慮した詳細スケールにおいて、オブジェクト指向型分類手法による土地利用区分とディジタル写真測量による地形分類の統合や、移動標準偏差の指標化などにより、空間的に不均質な植生の質的差異や回復ポテンシャルの差異を地理情報システム・リモートセンシングにより精度よく検出する手法を開発した。
  植生回復のポテンシャルが、key speciesの供給源となるコアエリアの空間分布と密接に関連し、とくに砂地においては、植生回復が砂丘間低地を起点とした種の定着・分散により進行することを明らかにした。一方、禁牧は回復コアエリアの形成に有効であるものの、植生回復に及ぼす効果は降雨変動性の影響を受け、とくに乾燥度が高まるにつれて顕著にあらわれることを明らかにし、非平衡環境における降雨変動性の影響を実証した。
  生態系モデルと風食モデルあるいは水分・熱・溶質移動モデルを組み合わせた統合モデルを構築することで、質的変化を伴うkey processを精度よく再現できることを明らかにした。以上の結果に基づき、本研究で開発・作成したベースマップおよび統合モデルを適用し、費用便益算出手法により、最大の費用対効果をもたらす砂漠化対処技術の適用手法について検討を行い、最適な技術選択の組み合わせを空間明示的に予測する手法を開発した。これにより、砂漠化対処の経済的効果および具体的な指針を同時かつ空間明示的に示すことが可能になった。
  以上のように、多数の学術的知見を統合することにより、政策決定者や土地管理者に直接利用できる情報を示し、砂漠化対処政策に貢献しうる具体的な対処手法を提示することができた。