検索画面へ Go Research



[キーワード] ミミズ、大型植食獣、地上部植生、遷移、土壌微生物

[F−073 土壌生物の多様性と生態系機能に関する研究]

(1)森林における植生と土壌生物多様性の相互依存性に関する研究[PDF](460KB)

 国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター

日浦 勉
揚妻直樹

<研究協力者>

 

千葉大学理学部

村上正志

 財団法人自然環境研究センター

豊田 鮎

  [平成19〜21年度合計予算額] 18,315千円(うち、平成21年度予算額 4,874千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  冷温帯落葉広葉樹林生態系における1)分解者から生産者への影響、2)消費者から分解者と生産者への影響、3)生産者から分解者への影響、4)環境変化が土壌微生物群集構造に与える影響、の4点について大規模な野外操作実験等を用いて明らかにすることを目的とした。密度操作実験によって、ミミズの密度の違いは主に糞団粒の多寡を通して地上部植生に大きな影響を与えており、林床草本だけでなく林冠木の成長さえ左右していることが明らかとなった。大型草食獣(シカ)の密度+生産性操作実験によって、その場の生産性の違いに応じて被食率が異なった。このことから、地上部植生の種組成は被食率の差を通して、その場所の生産性にも影響を与える可能性が示唆された。また、シカの密度が高くなるに伴い土壌中の窒素量は減少し、シカにより栄養塩循環が促進される可能性が示唆された。攪乱や遷移に伴って優占する樹種の転換が起こったサイト間の比較から、樹種転換が起こると分解速度が変化して有機物堆積量が変化するとともに、大型土壌動物群集の構造も変化していた。乾燥から滞水まで環境が大きく異なるにも関わらず、土壌微生物の多くのOTUではその相対個体数がほとんど変化を見せていない。このように非常に安定な群集要素が存在することは、土壌の環境にかかわらず偏在するなんらかの機能の存在を示唆している。