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[キーワード] トキ、野生復帰、自然再生、社会的合意形成、佐渡島

[F-072 トキの野生復帰のための持続可能な自然再生計画の立案とその社会的手続き]

(8)トキの生息環境を支える地域社会を構築するための社会的合意形成の設計[PDF](497KB)

 国国立大学法人 東京工業大学
大学院社会理工学研究科 価値システム専攻

桑子敏雄

<研究協力者>

 

順天堂大学

吉武久美子

昭和堂

鈴木了市

 東京工業大学大学院社会理工学研究科
価値システム専攻

豊田光世

  [平成19〜21年度合計予算額] 17,487千円(うち、平成21年度予算額 6,143千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  本サブテーマでは、自然環境保護の問題にかかわる社会的合意形成の成果を基礎にして、トキの歴史的・文化的コンテクストの解明および野生復帰に関係するステークホルダーの特定を行い、野生復帰時に課題となる事項および地域づくりのシナリオを、現地のステークホルダーとのワークショップを重ねながら明らかにすることを目的に研究を進めてきた。また、放鳥前後のステークホルダーの意識変化を踏まえつつ、地域住民、行政関係者、研究者など、多様なステークホルダーを対象として、ワークショップ(「佐渡めぐりトキを語る移動談義所」)を開催し、トキ野生復帰にかかわる関心・懸念の把握を進めた。トキにかかわる対立・紛争を回避するための合意形成の実践を通して、トキの野生復帰に向けた自然再生計画に関して合意形成を効果的に進めるための基礎的条件を示した。ワークショップは3ヶ年の研究期間で合計43回、環境省が定めるトキの野生復帰の重点エリア(小佐渡東部地域)よりも広い範囲で開催した。社会的合意形成の特筆すべき成果として、(1)トキへの関心の低かった岩首集落で情報集積・交流促進に向けた拠点の整備(岩首談義所)、(2)トキ放鳥に対して消極的だった加茂湖漁業協同組合関係者との協働による環境保全事業の展開に向けた拠点の整備(佐渡島加茂湖水系再生研究所)、(3)トキを含む自然と地域のさまざまな恵みを合わせて再生していく「包括的再生」という自然再生の理念の構築などが挙げられる。最終年度は、研究成果を「佐渡めぐりトキを語る移動談義所の歩み」という冊子にまとめ、地域への成果の公表を行った。