検索画面へ Go Research



[キーワード] 生物多様性、指標、分解者、択伐、群集組成

[F-071 炭素貯留と生物多様性保護の経済効果を取り込んだ熱帯生産林の持続的管理に関する研究]

(1)熱帯生産林の健全性と持続性に関する生物多様性指標の開発[PDF](458KB)

 独立行政法人森林総合研究所
木曽試験地

長谷川元洋

 <研究協力機関>

 

京都大学生態学研究センター

小野口剛(平成19.20年度)

関西支所 生物被害研究グループ

服部 力

九州支所 森林動物研究グループ

末吉昌宏

 木曽試験地

吉田智弘(平成19年度)

  [平成19〜21年度合計予算額] 28,105千円(うち、平成21年度予算額 8,556千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  デラマコット森林管理区において低インパクト伐採(RIL)が、さまざまな分類群に与える影響を調査した。その結果、研究を行ったいずれの分類群においても、低インパクト伐採を行ったサイトの群集は原生林と似た組成を持つことが確認され、従来型の伐採を行った区は原生林とは異なる群集を持つことが分かった。以上から、低インパクト伐採による伐採手法は、分解者の多くの分類群でその多様性を維持する方向にはたらいていることが示唆された。これらの施業間の生物多様性への効果の違いは、個体数、種数には反映されず、種組成の変化に着目することにより明らかとなった。各プロットの種数を分類群間で比較したところ、任意の2つの分類群間にはほとんど有意な相関が見られなかった。一方、群集の組成を使って分類群間の相関関係を調べたところ、アリ、樹木、ササラダニ等で他の分類群との間に正の相関が見られた。
  伐採影響に対する指標分類群の選択基準を生態学的代表性と経済学的有効性の二面に大別して考察した。生態学的代表性の側面については、伐採による改変に対して生態系の機能が維持されているかを把握するという観点から、生産者、消費者、分解者のそれぞれの分類群を含む生物指
標の選択を提案した。また、伐採影響は群集組成から検知する方法が推奨された。デラマコットでは分解者の反応は樹木群集の動態と類似していたが、これが普遍的傾向かどうか他地域でも確認する必要がある。保護活動に対する消費者へのアピールなどを考慮した経済学的有効性からは、哺乳類など脊椎動物のモニタリングが有効と考えられた。