検索画面へ Go Research



[キーワード] 遺伝的撹乱、小笠原、海洋島、侵略的外来植物、生態系影響

[F-051 脆弱な海洋島をモデルとした外来種の生物多様性への影響とその緩和に関する研究]

(1)小笠原諸島における侵略的外来植物の影響メカニズムの解明と、その管理手法に関する研究[PDF](472KB)

 首都大学東京理工学研究科

可知直毅・加藤英寿

 <研究協力機関>

 

 首都大学東京理工学研究科

畑憲治

  [平成17〜21年度合計予算額] 43,774千円(うち、平成21年度予算額 9,146千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  ギンネム、モクマオウなどの外来植物の侵入が、乾性低木林などの稀少固有種の多くを含む在来植生に及ぼす影響とそのメカニズムを解明する。また、これらの外来生物の排除がその後の植生変化に及ぼす影響を予測する。これらに基づいて外来植物の適切な管理手法およびその後の植生回復手法について検討する。また、今後の外来植物の小笠原への導入における検疫システムを確立するために、他の海洋島で用いられている有害植物リスク評価システムの適用の可能性について検討する。さらに、外来植物の遺伝的攪乱の可能性について検討した。
  攪乱跡におけるギンネムの侵入は、種子供給源からの距離と草本植生の構造に依存していた。侵入したギンネムは、その後の在来木本種の定着を阻害する可能性があることが示唆された。
  モクマオウが侵入した林分では、大量のリターフォールによって形成された厚いリター層が在来木本種の定着を物理的に阻害し、その結果、林床において在来木本種の稚樹が欠如している可能性が示された。また、モクマオウの駆除に必要な最適薬剤量を明らかにした。さらに、駆除を行わないでモクマオウ林において在来木本種の定着が可能であることを明らかにした。
  有害植物リスク評価システムを過去に小笠原に意図的に導入された植物種に適用し、小笠原への外来植物の導入における検疫システムとして活用できることを示した。
  父島に植栽されている琉球産のセンダンと小笠原在来のセンダンの間で遺伝的攪乱の可能性は低いことが明らかになった。