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[キーワード] 船体保全、船体付着生物、付着防止技術、海運、長期滞船

[D-072 大型船舶のバラスト水・船体付着で越境移動する海洋生物の動態把握と定着の早期検出]

(7)海運による国際物流に伴う生物フロー解析とバラスト水および船体付着管理手法に関する研究[PDF](413KB)

 東海大学 海洋学部 航海学科 航海専攻

金子仁・津金正典

 <研究協力機関>

 

 東海大学 船舶管理室

荒木直行

 東海大学 望星丸

河内尚・野陳朋樹・藤村涼

  [平成19〜21年度合計予算額] 10,889千円(うち、平成21年度予算額 3,349千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 商船では省エネルギーの観点から生物の船体付着防止を行っているが、ドック時またUWC(Under Water Cleaning)時に必ず海洋生物の付着がみられる。今後、付着防止の観点から船体管理を実施するとなると厳しい管理が必要となる。付着する動物の種類では環形動物と節足動物が約90%を占め、この割合は船体外板とニッチ部では同程度である。また、それら付着生物にヨコエビ、ワレカラなどが住みついており、一緒に移動される可能性が大きい。最初に付着する部位は防汚されていない、また塗装の剥離場所であることが分かった。この場所にフジツボ等が付着すると生物を誘引し、付着が助長することから早期に付着を発見し、取り除くことが必要である。付着防止は塗装によることが大きいが、船体構造上および塗装施工法の理由で塗装が完全とはならない、また運航にともなって必ず塗装が衰耗・剥離する部位があり、その部位には他の付着防止方法が必要である。その部位に界面活性剤を注入した実験を行ったが付着防止効果があることを実証した。また、一般的に船舶で塗装されない部位に塗装を施した実験を行い、付着防止効果があることを実証した。付着は港湾での船舶の停泊日数と大きな関係があると考えられている。豪州の石炭積み出し港湾の滞船状況を調査すると共に、寄港石炭船の運航データの解析を行い停泊期間と出港後の船速から付着状況を分析する簡単な指標値を提案した。また、長期停泊中の付着防止対策として、1週間程度毎に短期航海をすることが有効であることを確認した。さらに、液化天然ガス運搬船、コンテナ船の停泊日数を調査し、石炭船と比較し長期滞船の影響の受けない船種であることをを確認した。海運による海洋生物の移動を防止するためには、マクロ的見地からは長期滞船を発生させない貿易形態を構築することや停泊を極力短縮するための港湾施設能力の拡充が重要かつ必要である。ミクロ的には船体付着を防止することであるが、港湾設備、船体構造、船体整備方法、具体的付着防止技術等を含め総合的な体付着防止管理手法について提言した。