検索画面へ Go Research



[キーワード] 船体付着、フジツボ、移入種、移入経路、リスクアセスメント

[D-072 大型船舶のバラスト水・船体付着で越境移動する海洋生物の動態把握と定着の早期検出]

(4)バラスト水および船体付着がフジツボ類の越境移動に及ぼす影響[PDF](528KB)

 東京大学気候システム研究センター

高橋正明

 独立行政法人国立環境研究所
大気圏環境研究領域 大気物理研究室

秋吉英治

<研究協力者>

 

 東京大学気候システム研究センター

山下陽介(現環境研PD研究員)

 国立環境研究所 広域大気モデリング研究室

永島達也

 国立環境研究所 大気物理研究室

中村 哲

  [平成19〜21年度合計予算額] 11,648千円(うち、平成21年度予算額 3,588千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 バラスト水および船体付着がフジツボ類の越境移動に及ぼす影響を評価するためモデル開発を行なった。開発はHayesらが2005年に発表したモデルを基礎とし環境類似性および船舶の寄港数に関する項に改良を加えた。モデル計算の結果、H20年度の成果により中部日本の港の場合は、移入は東アジアからの船舶がもたらす可能性が高いことが示されたが、今年度は東アジアに就航する二隻の船舶の船体を調査した結果、移入可能性が高いと判断されたフジツボ種はいずれの船体からも発見されなかった。むしろ、移入危険性の高い種は、近年日本に移入したと考えられるMegabalanus coccopoma(ココポーマアカフジツボ)も含め、オーストラリア航路に就航するバルカーの船体から数多く発見された。このため、今年度は同航路に就航する船舶に付着するフジツボの移入可能性と移入経路についての検討を行った。とりわけ、移入実績を持つココポーマアカフジツボの多くが成熟サイズに達し、多くの抱卵個体が見られたことは、船体に付着して移動するフジツボが移入先で幼生を放出し、そこへ移入する能力を持つことを意味する。また、移入経路は、船舶の寄港数が多く、長い沖待ちがあるオーストラリア東南部の港が有力であることも明らかになった。これらの結果を基に越境移動を防ぐ方法を検討した結果、防汚塗料開発の他、水中船体洗浄による船体からのフジツボ除去を考える場合、除去のタイミングはドライドック出渠後の積算停泊期間が2ヶ月半に達する以前に実施することが効果的であることが明らかになった。