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[キーワード] 海岸漂着物、定点調査、モニタリング、市民参加、地域知

[D−071 市民と研究者が協働する東シナ海沿岸における海岸漂着ゴミ予報実験]

(2)NGO/CBO/地域住民と連携した海岸踏査による漂着ゴミの実態調査[PDF](403KB)

 九州大学大学院工学研究院環境都市部門

清野聡子

 <研究協力者>

 

 JEAN/クリーンアップ全国事務局

小島あずさ・五島宏・佐藤千綾

長崎大学 教育学部

中西弘樹

 長崎大学 水産学部

阪倉良孝

鹿児島大学 水産学部

藤枝繁

五島市役所 生活環境課・岐宿支所・三井楽支所・奈留支所・富江支所
海ごみドットコム

由比良雄

 (株)光栄測量設計

平田政昭

  [平成19〜21年度合計予算額] 46,748千円(うち、平成21年度予算額 12,512千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 海岸漂着ゴミの季節変動、起因地の解明と対策法の開発のため、NGO/CBO/地域行政との協働で調査を行った。長崎県五島列島福江島八朔鼻海岸で、NGO、市役所、地域住民らの協力を受け、隔月で漂着ゴミの量と内容の「定点調査」を行った。島内での定点の地形や方角の特性を把握するため、調査項目をペットボトルの起因地に絞り、15地点で夏季と冬季の年2回「島内広域調査」を実施した。さらに広域的分布の把握のため、福岡県から沖縄県にかけて6か所の調査点を設定し、夏季と冬季の年2回、各地点1-3回の「東シナ海沿岸広域調査」を行った。定点調査の結果、特にペットボトルや漁業用発泡スチロール製フロートの漂着量の、秋季から冬季の急増が明らかになった。代表的な漂着物をペットボトルとし起因地を調べたところ冬季は韓国、春季から夏季は日本、夏季は中華系(中国、台湾、香港)と、この主な3つが次々とピークがずれスイッチして交代するパターンが明らかとなった。島内広域調査では、定点を含む北部から西部の海岸は定点同様に韓国系と中華系が混在するが、南部は中華系、特に北西部は韓国系が卓越するパターンを示した。製品ラベルから、東シナ海沿岸で経済発展している主要都市名が判読された。東シナ海沿岸広域調査では、沖縄本島、先島諸島では中華系、福岡から長崎の九州西岸は韓国系、鹿児島は国内が多く、地理的分布の特徴が見られた。多大な人的負荷を要する海岸漂着ごみ調査の枠組形成も行った。地元の岐宿地区を中心に、研究者と協働する市民参加の研究体制を構築し、地域行政、NGO、さらに研究経験者のインタープリターの重要性を確認した。調査の求心力醸成には「地域知に基づく仮説検証型の研究手法」の有効性が示された。「市民調査マニュアル」を作成し、市民モニタリング手法を開発した。越境的環境問題は、国家間ではデリケートだが、NGO,研究者が地域を支援する枠組は利害関係がなく具体的なため訴求力を持つ。さらに国際会議でも多セクター協働の解決の発信が重要であろう。