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[キーワード] 双方向粒子追跡法、漂着ゴミの発生源推定、発生量推定の逆問題、ゴミ漂着量予報システム、漂着ゴミ回収事業の効率化

[D-071 市民と研究者が協働する東シナ海沿岸における海岸漂着ゴミ予報実験]

(1)海洋数値モデルによるゴミ発生源の特定と漂着予報[PDF](402KB)

 愛媛大学
沿岸環境科学研究センター

磯辺篤彦

 <研究協力機関>

 

 愛媛大学沿岸環境科学研究センター

加古真一郎

  [平成19〜21年度合計予算額] 44,328千円(うち、平成21年度予算額 19,124千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  漂着ゴミの発生源や発生量の、数値モデルによる高精度推定手法の確立に取り組んだ。まず、あらかじめ海洋循環モデルで求めておいた海流の向きを逆にして、漂流ゴミの着岸場所にモデル粒子群を投入し、発生源候補まで粒子群を遡らせる逆追跡実験を行う。その後、発生源候補から粒子群を再投入し、ゴミが着岸した時期に、モデル粒子群が広がっている範囲(標準偏差の二倍を長軸とする楕円の範囲)に注目する。そして、ゴミの着岸場所が、その範囲内にあるか否かでもって、粒子を再投入した発生源候補の有意性(95%信頼限界)を検証する。この双方向粒子追跡法の精度検証を、実際に五島列島の海岸に漂着した使い捨てライターを用いて行った。発生源分布をライターに記載された電話番号から推定し、追跡法で特定した発生源と比較したところ、両者には良い一致が見られた。つづいて、五島列島福江島の八朔鼻海岸で得た海岸ゴミ漂着量デ
ータを用いてゴミの発生源を推定した。さらに各発生源での発生量を、八朔鼻海岸における実際のゴミ回収量をもとに、ラグランジュの未定乗数法を用いた逆問題の解として推定した。人工衛星観測風で駆動した数値海洋循環モデルに、推定した発生量に相当する粒子数を各発生源から流
して、モデルの五島周辺に到達した粒子数と、実際の海岸での回収量、およびウェブカメラで推定したゴミ漂着量を比較し、本研究で推定した発生源情報や手法の精度を確認した。さらに、気象庁提供の予報風データを用いて、発生源と発生量を数値モデルに与えた海岸ゴミ予報システムを構築し、ゴミ漂着一か月予報をインターネット上で公開した。そして、予報技術やウェブカメラを用いたゴミ監視技術を駆使した効率良い漂着ゴミ回収手法を提案した。