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[キーワード] ライフサイクルアセスメント(LCA)、エネルギーチェーン、CO2排出原単位、SOx排出、NOx排出

[B-074 アジア地域における緩和技術の統一的な評価手法の開発に関する研究]

(2)ボトムアップ型のエネルギーチェーンLCAモデルを用いた緩和技術評価に関する研究[PDF](364KB)

 国立大学法人筑波大学
大学院システム情報工学研究科 リスク工学専攻

岡島敬一

  [平成19〜21年度合計予算額] 15,575千円(うち、平成21年度予算額 4,928千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 アジア地域におけるエネルギー供給技術によるCDMを対象とした評価手法の開発及び開発手法の適用を通した有効性の実証を目的として、エネルギーチェーン多層評価システム(エネルギーチェーンLCAモデル)の各要素技術と各プロセスフローについて中国及びインドを中心とするアジア地域への適用方法を検討し、温暖化緩和の可能性の大きい特定地域を対象に緩和効果を定量的に評価した。また、中国におけるエネルギーチェーン基礎データに関し、発電所ヒアリングによるデータ収集を進めた。具体的には、アジア地域において大きなCDMクレジットポテンシャルがあると評価された中国及びインド各地域における先進的火力発電技術導入に対して、エネルギーチェーン多層評価システムを用いて、CDMのコベネフィットを含む費用便益分析のためのライフサイクルアセスメントを行った。具体的には中国の山西省、新疆ウイグル自治区、上海市、重慶市、遼寧省、広東省、インドではデリー、ムンバイ、コルカタの計9地域で、それぞれに石炭ガス化複合発電(IGCC)、天然ガス複合発電(NGCC)、超々臨界圧石炭火力発電(USC)を用いた新規プラントが建設される場合を想定した。先進的火力発電を導入することで大幅なCO2排出量削減が示され、特に既存の火力発電の効率が30%以下の低い地域では先進的火力発電導入効果が大きい。発電コストは燃料輸送費について地域間や輸送手段で差がみられ、炭鉱から遠い上海市や広東省と炭鉱から近い山西省についてトラック輸送をした場合の比較をすると総発電コストに占める燃料輸送費の差が大きい。また中国におけるトラック輸送費は鉄道輸送費のおよそ10倍であったが、インドでは若干鉄道輸送費が低い程度であった。発電コストを技術間で比較すると、天然ガス火力発電は燃料費が高いため総じて石炭火力発電より高く導入に際して不利となる。しかし天然ガス火力発電は導入によるCO2削減量が大きいという利点があるため、CO2削減コスト原単位で比較した場合地域・燃料輸送方法によっては石炭火力発電に対し優位性を持つことを明らかにした。