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[キーワード] 大型オープントップチャンバー、高温・高CO2 濃度、暖温帯広葉樹林、土壌炭素の分解、落葉枝量

[B-073 土壌呼吸に及ぼす温暖化影響の実験的評価]

(3)大型オープントップチャンバーを用いた高温・高CO2 が土壌呼吸に及ぼす影響評価[PDF](440KB)

 広島大学大学院生物圏科学研究科
環境循環系制御学専攻

中根周歩・中坪孝之

 <研究協力者>

 

 広島大学大学院生物圏科学研究科
環境循環系制御学専攻

王新・賈磊

 大気圏環境研究領域 大気物理研究室

杉田考史

広島大学CO2 固定エコ・バイオ技術開発研究プロジェクトセンター

田上公一郎

  [平成19〜21年度合計予算額]25,200千円(うち、平成21年度予算額 9,600千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 広島大学の精密実験圃場に設置されているオープントップチャンバー6 基(B1〜3 区、A1〜3区)において、外気と同等の気温とCO2 濃度(B1)、外気と同温で1.4 倍(B2)、1.8 倍CO2 濃度(B3)、外気より高温(+3℃)で1倍(A1)、1.4 倍(A2)、1.8 倍(A3)のCO2 濃度のそれぞれの環境下で、土壌呼吸、根を切断して得た微生物呼吸量を3 年間、毎月数日間測定した。さらに、落葉枝量はリタートラップで月毎に測定した。また、根の成長、枯死(更新)量をミニライゾトロン法で測定した。その結果、落葉枝量はB 区よりA 区で高く、それぞれの区ではB3<B1<B2,A1<A3<A2 となり、中CO2 濃度区で最も多くなる傾向が見られた。年間の全土壌呼吸や根の呼吸量はB<A 区で、CO2 濃度の上昇に伴って増大したが、微生物呼吸量はB3<B2 区となった。落葉枝量+根の更新量(以上、イ
ンプット)と微生物呼吸(アウトプット)とのバランスはB1 区を基準とした場合、高温、中CO2 濃度区では、僅かなマイナスであったが、高CO2 濃度区、または高CO2 濃度・高温区では大きなマイナスとなり、この3 年間の結果から予測される温暖化環境下では、森林の土壌炭素収支が大きく放出に転換することが示唆された。