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[キーワード] 北極振動、太陽放射、オゾン分布、化学気候モデル、成層圏−対流圏相互作用

[A-071 成層圏プロセスの長期変化の検出とオゾン層変動予測の不確実性評価に関する研究]

(4)太陽放射と極振動によるオゾン分布の変動解析に関する研究[PDF](402KB)

 東京大学気候システム研究センター

高橋正明

 独立行政法人国立環境研究所
大気圏環境研究領域 大気物理研究室

秋吉英治

<研究協力者>

 

 東京大学気候システム研究センター

山下陽介(現環境研PD研究員)

 国立環境研究所 広域大気モデリング研究室

永島達也

 国立環境研究所 大気物理研究室

中村 哲

  [平成19〜21年度合計予算額]12,064千円(うち、平成21年度予算額 3,952千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

北半球の成層圏大気中のオゾン分布は、太陽放射の変化による直接的影響に加え、冬季に卓越する東西風偏差が太陽放射変動に関連して変化したことによる間接的な影響を受ける。冬季における太陽放射の影響を、東西風偏差で特徴づけられる北極振動という立場で評価すること
を試みた。NCEP/NCAR再解析データを用いた解析的な研究の結果、初冬では太陽活動の違いによる対流圏下層のtransientな擾乱の違いが北極振動の鉛直構造に重要な役割を果たすことが示唆された。中緯度成層圏における東西風の変調がdownward control(下方をコントロールする)というメカニズムを通して、赤道域下部成層圏における下降流を引き起こし、オゾンが増加していることを見出した。太陽放射最大および最小条件の太陽放射固定実験の差から季節変化を調べてみると、東西風のアノマリーが極振動に対応していることが示唆され、さらにその影響が子午面循環を通して太陽放射に伴う赤道域下部成層圏の温度(オゾン)アノマリーに連携していることを見出した。
成層圏オゾンの変動の対流圏への影響として、北半球下部成層圏での夏季のオゾンの増加と相関の良い対流圏循環偏差を見出し、また化学気候モデルを用いた感度試験においてもオゾン増加に対する対流圏循環の応答があることを見出した。また今後期待されるオゾンホールの縮小により、南半球成層圏の高緯度の偏西風の弱化が認められ、その影響が対流圏にまで及ぶことを数値実験から見出した。