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[キーワード] 熱帯、対流圏界面、水蒸気、オゾン、水蒸気除去過程

[A-071 成層圏プロセスの長期変化の検出とオゾン層変動予測の不確実性評価に関する研究]

(1)熱帯対流圏界面領域における水蒸気変動に関する研究[PDF](414KB)

 北海道大学大学院地球環境科学研究院 

藤原正智

 北海道大学大学院地球環境科学研究院 

長谷部文雄

 北海道大学大学院地球環境科学研究院

山崎孝治

<研究協力者>

 

 独立行政法人海洋研究開発機構
地球環境観測研究センター

柴田隆

  [平成19~21年度合計予算額] 34,146千円(うち、平成21年度予算額 10,240千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  オゾン層の変動・回復に大きな影響を及ぼす成層圏水蒸気量の変動を支配しているメカ ニズムの解明を目指し、熱帯の対流圏界面領域における水蒸気除去過程および物質輸送過程を、 観測、データ解析、数値実験により研究した。2008年1月、2009年1月、2010年1月に熱帯西太平洋 域における水蒸気・オゾンゾンデ多地点・準同時観測を実施し、現在もっとも有効な水蒸気除去 過程であると議論されている水平移流脱水過程の実測をおこなった。過去2004年12月、2006年1月、 2007年1月に実施した同様の観測データもあわせ、全球気象客観解析データと気象衛星ひまわりに よる雲画像データを用いて、ゾンデで同一空気塊を複数回測定した事例(“match”事例)を探した。
空気塊の同一性を保証するための各種スクリーニングも行った結果、最終的にmatch事例を80程度 得て、いくかの代表的事例について脱水過程の詳細を調べた。さらに、1993年から2009年の17年 間の熱帯での水蒸気ゾンデ観測データに基づき、下部成層圏の水蒸気の季節変動、年々変動、10 年規模変動を解析し、特に2000年代前半を極小とする10年規模の変動を明らかにした。一方、1993年から2008年の16年間の熱帯でのオゾンゾンデ観測データに基づき、対流圏・下部成層圏のオゾンの季節~長期変動を解析し、特に下部成層圏における1999年頃を極大とする顕著な10年規模変動の存在も明らかにした。また、水蒸気除去過程と表裏一体の関係にある熱帯対流圏界面領域における巻雲の変動とそのメカニズム解明のため、過去の船舶搭載ライダーの集中観測データを解析し、巻雲の出現・消滅がおおまかには赤道ケルビン波活動や大規模移流などの大規模気象場に よって説明がつくことを明らかにした。数値実験による研究においては、熱帯対流圏界面領域の気温変動を支配するメカニズムを調べ、鉛直渦熱フラックスの重要性をはじめて明らかにした。