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[J−1 人工衛星データを利用した陸域生態系の3次元構造の計測とその動態評価に関する研究]

(3)衛星リモートセンシングと結合した植生構造動態モデルによる植物群集変動の推定システムの開発


[研究代表者]

農林水産省 農業環境技術研究所

●池田浩明

[農林水産省 農業環境技術研究所]

環境生物部 植生生態研究室

●池田浩明

企画調整部 地球環境研究チーム

●横沢正幸

環境資源部 大気生態研究室

●川島茂人


[平成9-11年度合計予算額]

14,118千円

(平成11年度予算額 4,838千円)


[要旨]

 衛星リモートセンシングデータを導入できるようにデザインされた植生分布の動態を記述する数理モデル(植生構造動態モデル)を構築し、広域的な植物群集変動の推定システムを開発すること目的とした。まず、2時期(1986年7月28日と1997年7月19日)のランドサットTMデータを用いて、同じ地点を教師とする土地被覆分類を行い、日光戦場ケ原の植生変動を解析した結果、ズミなどの木本種や乾性草本種の侵入に伴う湿原域の縮小が検出された。また、2時期の植生分布についてマルチフラクタル解析を行ったところ、面積が縮小した湿原のマルチフラクタル次元の最大値は減少し、面積が拡大した乾性草原のそれは上昇した。そこで、個々の植生が示したマルチフラクタル次元を数理モデルに導入するため、植生構造動態モデルとして1種系の格子モデルを構築し、数値実験を行った結果、競合の強さおよび競合の非対称性が小さいほどマルチフラクタル次元の最大値は減少することが判明した。すなわち、植生分布のマルチフラクタル解析から植生構造動態モデルの相互作用パラメータ(競合の強さと非対称性)を導くことが可能であることを明らかにした。以上より、植生分布のマルチフラクタル解析と植生構造動態モデルの組み合わせによる植物群集変動の推定システムを開発した。


[キーワード]

 日光戦場ヶ原、ランドサットTMデータ、植生変動、マルチフラクタル解析