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[D−2.東アジア海域における有害化学物質の動態解明に関する研究]

(2)底泥をめぐる食物連鎖による底泥堆積有害化学物質の底魚類への蓄積過程に関する研究

��底魚類、底生生物の底泥堆積有害化学物質蓄積に関する研究


[研究代表者]

 

水産庁 瀬戸内海区 水産研究所 環境保全部 水質化学研究室

●小山次朗

[水産庁 瀬戸内海区 水産研究所]

 

環境保全部 水質化学研究室

●小山次朗、池田久美子

(委託先) 大阪市環境科学研究所

●福島 実・先山孝則


[平成10〜11年度合計予算額]

19,332千円
(平成11年度予算額 9,661千円)


[要旨]

 昨年度行った日本海沖合域の調査に続いて今年度は、日本海の中央部に位置する水深350〜400mの大和堆で底泥、ベントス、底魚類を採取し、それぞれのダイオキシン類(以下、Co−PCBs12成分を含む)及び有機スズ化合物濃度を測定した。昨年度、水深200〜500m前後の北陸・山陰沖で採取した試料についての結果も含めて目本海沖合域における底泥および底泥をめぐる食物連鎖網におけるダイオキシン類(及び有機スズ化合物の動態について検討した。
 大和堆および北陸・山陰沖合域のいずれにおいてもTPTは底泥食物連鎖を通して濃縮される傾向が認められたが、TBTは食物連鎖を通して濃縮されなかった。特に大和堆から採取した試料でこの傾向が強く認められた。なお、TPTがTBTに比べ食物連鎖を通して蓄積されやすい理由として、酵素による代謝のされ難さや排泄の速さなどが関係しているものと考えられるが、その詳細を本研究で明らかにすることはできなかった。食物連鎖の位置と関連すると言われる安定同位体比(δ15N)とTPT濃度とのあいだに相関が認められなかった。これは有害物質の蓄積は安定同位体(15N)の蓄積に比べ、同一栄養段階における種間差(薬物代謝酵素活性の違いなど)が大きいためではないかと考えられた。以上の傾向は、沿岸域(七尾湾)で認められたものと同様であった。
 大和堆の底泥からは、北陸・山陰沖に比べ約1/10のダイオキシン類しか検出されなかった。両海域で検出されたダイオキシン類は、その異性体組成から陸上で過去に使用された水田除草剤CNPやPCPとPCB製剤(カネクロール等)の影響が共通して窺えた。一方、生物中に蓄積されているダイオキシン類濃度の差は、両海域で小さかった。よって、生息海域の底泥中のダイオキシン類濃度が、生物の蓄積濃度に及ぼす影響は小さいものと判断できた。次に、これらの海域において底層食物連鎖における栄養段階とダイオキシン類蓄積濃度の関係について見たところ、海域や食物連鎖構造が異なっても、PCDDsとPCDFsは栄養段階との明確な関係は見られず、Co−PCBsのみが栄養段階の上昇に伴って濃縮される傾向が確認された。さらに、底泥と生物中に蓄積されているダイオキシン類濃度を比較すると、北陸・山陰沖では海域や食物連鎖を構成する生物が異なっても、Co−PCBsが底泥に比べ生物で濃度が高く、PCDDsとPCDFsでは濃度がほとんど変わらないか、反対に生物で低くなるといった傾向があった。しかし、底泥中濃度の低い大和堆では、全てのダイオキシン類で生物中の濃度が底泥よりも高くなっていた。この傾向は、沿岸域(七尾湾)で確認されたものと同様であり、底泥に対する生物でのダイオキシン類の蓄積率は常に一定では無いが、Co−PCBsが最も蓄積されやすいことが明らかとなった。


[キーワード]

 底泥、食物連鎖、生物濃縮、有機スズ化合物、ダイオキシン類