検索画面に戻る Go Research



(829Kb)

[D−2.東アジア海域における有害化学物質の動態解明に関する研究]

(1)東アジア海域における有害化学物質の時空間変動機構に関する研究

��東シナ海における有害化学物質の時空間変動機構に関する研究


[研究代表者]

 

水産庁西海区水産研究所 東シナ海海洋環境部 生物環境研究室

●清本容子

[水産庁西海区水産研究所]

 

東シナ海海洋環境部 生物環境研究室

●清本容子、岡村和麿、横内克巳、長田 宏


[平成10〜11年度合計予算額]

9,887千円
(平成11年度予算額 4,878千円)


[要旨]

 東シナ海の環境保全のためには、海域に流入する汚染物質の挙動解明と海洋生態系への影響評価が不可欠である。そこで、東シナ海における有害化学物質の分布を把握するため、1998年9〜10月および1999年10〜11月に東シナ海の陸棚中央部から沖縄舟状海盆に至る海域で実施された調査船航海において、海水の濃縮捕集試料、エアロゾル試料及び海底堆積物を採取し、分析を行った。海水及びエアロゾル試料からは、濃度はきわめて低いものの有機塩素系の有害化学物質であるヘキサクロロシクロヘキサン類(以下HCHと略)、クロルデン及びノナクロル類が検出された。これら有機ハロゲン化合物の分析結果と、同時に得られた水温・塩分等の関連データ及び本課題1期(1996〜1997年)の観測結果を総合し、東シナ海における有機ハロゲン化合物の分布特性及びそれらの供給源について検討した。エアロゾル及び表層海水中における分布特性及び異性体比の特徴から、HCH類の海域への供給経路の主体はα−HCHが大気、β−HCHが陸水であることが示唆された。また、夏季の表層海水においてはβ−HCH類濃度と塩分との間に明瞭な負の相関関係が認められることから、長江河川水が主要な供給源として寄与していると考えられた。クロルデン及びノナクロル類については、降雨・強風時に大気を経由した供給が行われている可能性が示唆された。一方、これらの有機ハロゲン化合物は海底堆積物中からは検出されなかったこと、また表層水と比べて底層水中で高濃度となる傾向はβ−HCHを除いては認められないことから、今回観測した海域においては、海底堆積物がこれら有機ハロゲン化合物の供給源となっている可能性は低いと考えられた。一方、β−HCHは底層水中で、クロルデン及びノナクロル類は夏季の躍層付近で比較的高濃度となるなど、物質により異なる鉛直分布を示したことから、有害化学物質が海域に供給された後、海水中でどのような挙動をするかに関してはより詳細な調査・解析が必要と考えられた。


[キーワード]

 東シナ海、有害化学物質、有機ハロゲン化合物、供給経路