![]() | |
---|---|
![]() |
[研究代表者] |
|
資源環境技術総合研究所熱エネルギー利用技術部 燃焼システム研究室 |
●鈴木善三 |
(委託先) |
|
岐阜大学工学部応用精密化学科 |
●守富 寛 |
9,040千円
(平成11年度予算額 4,309千円)
温室効果ガスの一つである亜酸化窒素(N2O)について、固定燃焼装置からの発生量抑制技術の研究を行った。
燃焼装置の形式としてはN2O発生量の大きい流動層燃焼方式を対象とした。N2O抑制法として流動層燃焼炉内へのN2O分解粒子の添加による低減法を試みた。分解粒子としては、強度の高いアルミナ〈γ-アルミナ)粒子を使用し、循環流動層燃焼の炉内媒体である珪砂との混合率を変化させて、石炭の燃焼実験を行いN2Oの低減率を検討した。その結果、アルミナ粒子は実際の流動層燃焼装置の燃焼温度である800-900℃で充分N2O分解能を発揮し、流動媒体全体の35%の混合率でN2Oは1/3程度まで減少させることが可能であった。この混合率ではNOへの影響は無かった。混合率が高い場合はN2O低減率はさらに高いものの、NOは通常の珪砂を流動媒体とする場合に比べて増加した。これは、石炭中のN分の窒素酸化物への転換反応でアルミナ粒子はN2Oへの転換は抑制するものの、NOへの転換を促進するためと考えられる。
前述の方法を補完するために、安価な粒子を積極的に利用し、さらに同時N2O、NO抑制の方法を検討した。方法はチャー、石灰石、セメント等の種々の粒子によるN2O分解を利用するもので、分解試験を固定層反応装置により行った。その結果、チャー粒子によるN2O分解機構は従来提唱されてきた、表面での接触反応による分解ではなく、N2OとCとの直接反応であることを実験的に明らかにした。また、石灰石のN2O分解効果は還元雰囲気で特に大きく、充分実用的な速度であることも分かった。Ca量がN2O分解には重要なパラメーターであり、Caを多く含むほどN2Oの分解高価は高くなることが確認できた。これらの粒子によるN2O分解を利用するためには、今回明らかとなった反応条件を実現する装置を実際の固定燃焼装置に組み込むことが今後の課題である。
固定燃焼装置、亜酸化窒素、排出抑制技術