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[研究代表者] |
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地質調査所海洋地質部海洋堆積研究室 |
●斎藤文紀 |
[通商産業省工業技術院地質調査所] |
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海洋地質部 海洋堆積研究室 |
●斎藤文紀 |
地殻物理部 地殻構造研究室 |
●大久保泰邦、田中明子 |
資源エネルギー地質部 資源解析研究室 |
●鈴木祐一郎 |
地質標本館 地質標準研究室 |
●佐藤喜男 |
国際協力室 |
●木下泰正 |
(委託先) |
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名古屋大学 文学部 地理学教室 |
●海津正倫 |
愛媛大学 教育学部 地理学研究室 |
●平井幸弘 |
54,476千円
(平成11年度予算額17,184千円)
近年懸念されている地球温暖化による海面の上昇によってデルタ(三角州)と沿岸湖沼がどのように応答し,影響を受けるのかを明らかにするため,タイ王国とベトナム南部の沿岸域において調査を行った.特に,数千年から数百年の時間スケールでの変化と,数十年から数年の時間スケールでの変化の両方に着目して,過去に起こった,また現在起こっている事例を取り扱った.本研究は6つの研究内容から構成される.それらは,タイ王国チャオプラヤーデルタにおいては,①リモートセンシング画像を用いて土地利用や海岸付近の変動解析手法を開発し,それらから海面変動の影響を明らかにする,②地形と表層地質の調査から,過去7−8千年間におけるデルタの海岸線付近の変化を明らかにすることにより,自然状態におけるデルタの変動過程から現在の問題点を抽出する,③タイ中央平野を構成する沖積層の研究から,過去7−8千年間におけるデルタの海面下の変化と前進様式を明らかにすることにより,自然状態におけるデルタの海域部分の変動過程を示し,堆積量とデルタシステムの観点から現在の問題点を考察する,④過去の環境を明らかにするための基礎的解析方法として有機物の地球化学的解析により,古環境の解析方法を確立する,以上4つのグループからなる.他の2つは,⑤メコンデルタにおける海面上昇の影響の解析,⑥沿岸湖沼域への影響の解析である.
これらの研究の結果,デルタ地域では,将来予想される海面上昇が10−20cm程度でも,沿岸域で侵食問題が顕在化する可能性があること,塩水化問題は流域の水利用と合わせて考慮すべき重要な問題であることが示された.海跡湖における海面上昇影響予測評価においては,各地域のDevelopment factorsの抽出・認識することの重要性を再確認し,それを取り込んだ評価手法を構築した.
海面上昇,タイ,チャオプラヤー,デルタ,沿岸湖沼,衛星画像