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[B−1 気候・物質循環モデルによる気候変動の定量的評価に関する研究]

(6)森林生態系・大気間のエネルギー交換のモデル化に関する研究


[研究代表者]

 

森林総合研究所森林環境部気象研究室

●渡辺 力

[農林水産省林野庁森林総合研究所]

森林環境部 気象研究室

●大谷義一、谷 誠、溝口康子

        森林災害研究室

●岡野通明


[平成9〜11年度合計予算額]

12,688千円
(平成9年度予算額 4,222千円)


[要旨]

 本サブテーマは,森林生態系・大気間の熱・水蒸気交換過程を観測に基づいてパラメータ化し,大気モデルに対し森林の影響を正しく反映させる手法を開発することを目的としている。
 埼玉県川越市の落葉広葉樹林に試験地を設定し,森林の熱収支や森林内微気象などの観測を継続的に実施した。観測にあたっては,測定機器類の精度維持を入念に行うとともに,複数の測定手法を併用することにより,長期間にわたり高品質なデータが得られるよう考慮した。この観測の結果から,落葉樹林では葉面積が大きく季節変化するため,それにともなってアルベードや熱収支の形態が変化することが明らかとなった。特に,春季には樹木の展葉が一斉に起こるため,森林が大気に及ぼす影響は短期間のうちに劇的に変化する。これらのことから,落葉樹林においては,展葉や落葉の時期を正確に推定することが必要であることが明らかとなった。
 また,観測データに基づいて森林群落の蒸発効率を評価し,その季節変化や気象条件等との対応を調べた。その結果,蒸発効率の値は森林の活動期に大きくなる明瞭な季節変化を示すことが明らかになった。また,各季節内においては,蒸発効率の気象条件への依存性を,日射量と蒸発要求度を用いてパラメータ化することができる。日射量に対する依存性は増加飽和型の関数形で,蒸発要求度に対する依存性については漸減型の関数形でそれぞれ表現することにより,蒸発効率の日変化が再現される。季節別に異なるパラメータセットを用いることにより,蒸発効率の季節変化をも表現することができる。その方法を用いて熱収支の再現計算を行ったところ,おおむね良好な結果が得られた。


[キーワード]

 陸面過程,森林,熱収支,通年観測,パラメタリゼーション