![]() | |
---|---|
![]() |
[研究代表者] |
|
国立環境研究所生物圏環境部 |
●椿宜高 |
[環境庁国立環境研究所] |
|
生物圏環境部上席研究官 |
●椿宜高 |
地球環境研究グループ野生生物保全研究チーム |
●高村健二、永田尚志 |
科学技術進行事業団特別研究員 |
●山根明弘 |
(委託先) |
|
東北大学大学院理学研究科 |
●牧雅之 |
岐阜大学農学部 |
●土田浩治 |
上越教育大学 |
●中村雅彦 |
北海道大学地球環境科学研究科 |
●東正剛 |
石巻専修大学 |
●玉手英利 |
53,333千円
(平成10年度予算額19,112千円)
野生植物の2分類群について、地理的分布の広さと遺伝的多様性の大きさの相関について検討し、現在の地理的分布の広さは歴史的な背景を無視することが出来ず、現時点で狭い分布域を持つ種が遺伝的多様性が低いとは必ずしもいえないことを示した。ウスバシロチョウの地域個体群について翅脈のFA値・酵素タンパク質ヘテロ接合度・交尾回数を測定し、個体群の平均FA値とGPI酵素のヘテロ接合度の間に負の相関関係が認められ、FA値が個体群の遺伝的変異性を表わす指標となりうることを示した。イトヨ地域個体群について鱗板数非対称個体の割合が個体数減少に伴って増加することと郡内で任意交配が実現してし、ない可能性を示した。湿原鳥類オオセッカ・オオヨシキリ・コジュリンの個体群構造・遺伝的集団構造・FAの相互関係を研究し、希少種のオオセッカ以外は集団中に遺伝的構造が認められたが、FAと遺伝的構造の関係ははっきりしなかった。高山鳥類イワヒバリの帰還率・分散・繁殖システムを分析した結果、その個体群は高い生残率・同一グループヘの高い帰還率・若鳥の高い帰還率によって維持され、一部の高順位個体が繁殖を独占していることが明らかになり、遺伝的多様性の低下が示唆された。エゾシカ集団がミトコンドリアDNA遺伝子で6つのタイプに分かれること、および千葉集団と比較して、マイクロサテライト遺伝子の平均ヘテロ接合度が低く対立遺伝子数が少ないことを示した。エゾシカ隔離個体群の個体は個体数崩壊後に下顎・枝角の小型化が認められるが、FAの大きさには個体数崩壊の影響は認められないことを示した。ニホンジカについて集団内の遺伝的変異を測定するための遺伝的マーカーを開発して各地域集団の遺伝的多様性の測定をおこない、さらに長期調査集団について、個体レベルの遺伝的多様性を測定して個体の適応度と遺伝的変異との関連性を検討した。イリオモテヤマネコの遺伝的多様性をマイクロサテライト遺伝子およびMHCクラスI遺伝子をマーカーとして評価し、前者の中立マーカーでは他のネコ科動物と比較しても極めて低い多様性の値となったが、後者の中立ではないマーカーでは多様性が維持されて
いることを明らかにした。
ヘテロ接合度、FA、酵素多型、DNA、遺伝マーカー