研究成果報告書 J98D0121.HTM

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[D−1.渤海・東シナ海における河川経由の環境負荷が海洋生態系に与える影響評価手法に関する研究]

(2)汚濁物質が海洋生態系・物質循環に与える潜在的影響の評価手法に関する研究

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[研究代表者]

 

国立環境研究所水土壌圏環境部水環境工学研究室

●原田茂樹

[環境庁国立環境研究所]

 

水土壌圏環境部部長

●渡辺正孝

水環境工学研究室

●村上正吾、牧秀明

水環境質研究室

●内山裕夫、徐開欽、越川海

土壌環境研究室

●高松武次郎、越川昌美

生物圏環境部微生物生態研究室

●広木幹也、河地正伸

地域環境研究グループ海域保全研究チーム

●木幡邦男


[平成8年度〜10年度合計予算額]

36,753千円

(平成10年度予算額11,265千円)


[要旨]

 長江河口域への汚濁負荷に対する河口域生態系への影響評価の為に、波高の高い海域に設置可能な隔離生態実験系(浮遊式海洋メゾコズム)の開発及び長江河口域に構築したメゾコズム生態系へのリン及び油負荷実験を行った。
 浮遊式のメゾコズム開発では生態系維持に必要な水塊の混合条件を、蛍光色素を用いて調べた。その結果、波高が30〜60cm程度の海域にメゾコズムを構築した場合、メゾコズム自体の動きが十分な水塊混合を確保することが明かとなった。
 長江河口域における汚濁負荷実験では、生物生産の制限栄養塩であるリンを添加し、生態系の応答及び生態系物質循環について検討した。秋季及び春季の実験共に、リン添加(N/P元素比を8に調整)のみで、植物プランクトンブルームが容易に引き起された。ブルームを形成した植物プランクトンは、珪藻(秋季)及び渦鞭毛藻(春季)であった。両季節とも珪酸は豊富に存在し、優占種の決定因子は珪酸塩濃度以外にあると考えられた。粒子態有機炭素量としての生物量は季節に関わらず約1mg/l増加し、初期生物量の2倍であった。したがって本海域へのリン負荷は急激な生物量増大を招くと考えられた。また捕食者によるブルーム制御機能は相対的に珪藻ブルームに対して高く、渦鞭毛藻に対しては低いことが明かとなった。
 油濁汚染実験では、船舶燃料油水溶性画分をメゾコズムに添加し、生態系への影響を観測した。観察された生物種のうち、特に繊毛虫類及び夜光虫が油添加後に個体数が大幅に減少し、添加油に敏感に影響を受けていたことが示された。また植物プランクトンの光合成活性も大きく減少したことが示され、船舶油流出事故は河口域の生物生産に直接の影響を与えることが示唆された。


[キーワード]

長江河口域、生態系、メゾコズム、栄養塩、リン制限、油濁汚染