研究成果報告書 J98C0133.HTM

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[C−1.東アジアの環境酸性化物質の物質収支解明のための大気・土壌総合化モデルと国際共同観測に関する研究]

(3)束アジア地域の乾性沈着量測定に関する研究

N鎧匸物質に対する沈着速度評価に関する研究


[研究代表者]

 

国立公衆衛生院地域環境衛生学部

●原宏

[厚生省国立公衆衛生院]

 

地域環境衛生学部環境管理・計画室

●久松由東


[平成8〜10年度合計予算額]

8,911千円

(平成10年度予算額2,920千円)


[要旨]

 乾性沈着は酸性のガスやエアロゾルが乱流拡散で地上表面直上まで輸送され、さらにブラウン拡散により表面に接触し吸収、吸着される現象である。この沈着量を評価する方法の一つに推定法と呼ばれる方法があり、対象とする物質の大気中の濃度とその沈着速度の積で評価する。この沈着速度は対象とする物質と、沈着する表面のそれぞれの組み合わせにより値は異なる。森林に対する沈着量の評価はその衰退との関連で非常に重要である。本研究では酸性のエアロゾルの森林への沈着を評価するためにその沈着速度を決定することを目的にコナラ林、トウモロコシ群落、アカマツ林で硫酸エアロゾルおよびその前駆体である二酸化硫黄もあわせ、濃度の高度分布等を野外観測した。いずれの場合も、二酸化硫黄については地表に近づくに従って濃度が減少するパターンの分布が得られた。しかし、硫酸エアロゾルについては、基本的に樹冠の上方から地表まで一様な分布であり、濃度の減少パターンは認められなかった。特にアカマツ林では樹冠から上方に向かって濃度が上昇する傾向がみられ、硫酸エアロゾルが放出されている可能性が示唆された。この放出速度と、同時に測定されたオゾンの沈着速度とは逆相関を示した。これらの事実から以下のようなメカニズムが考えられる:1)マツからテルペンが放出される、2)テルペンとオゾンが反応しアロゾルが生成する、3)エアロゾル表面に二酸化硫黄が吸収され硫酸に変換する。コナラ林、トウモロコシ群落でもエアロゾルの生成があるたか様と思われる高度分布パターンが観測されたと考えられる。したがって森林に対するエアロゾルの乾性沈着沈着は化学反応やエアロゾルの生成を考慮して評価する必要があると思われ、関連するガス、エアロゾルや気象因子を総合的に観測し、支配的な沈着メカニズムを解明することが大きな課題であると判断される。


[キーワード]

乾性沈着、エアロゾル、硫酸、二酸化硫黄、森林、酸性雨