研究成果報告書 J98C0132.HTM

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[C−1.東アジアにおける環境酸性化物質の物質収支解明のための大気・土壌総合化モデルと国際共同観測に関する研究]

(3)東アジア地域の乾性沈着量測定に関する研究

⊃肯喟限峽呂砲ける乾性沈着量測定手法の開発及び湿性沈着物の動態に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所

●佐竹研一、高松武次郎

[環境庁国立環境研究所]

 

地球環境研究グループ酸性雨研究チーム

●佐竹研一

水土壌圏環境部土壌環境研究室

●高松武次郎

化学環境部動態化学研究室

●瀬山春彦・田中敦

(委託先)

 

兵庫県立公害研究所

●玉置元則

富山大学理学部

●小島覚

宇都宮大学農学部

●深見元弘

筑波大学地球科学系

●中野孝教

弘前大学理学部

●鶴見実


[平成8〜10年度合計予算額]

28,890千円

(平成10年度予算額9,495千円)


 本テーマには、大別して、(A)酸性汚染物質の森林生態系への乾性沈着量を測定するための方法を開発・研究する課題と、(B)湿性(乾性を含む)沈着によって負荷された酸性汚染物質が森林生態系内でどの様に挙動し、かっ影響を与えるかを研究する課題とが含まれる。以下に、それぞれで得られた成果を報告する。


A.森林生態系における乾性沈着量測定手法の開発に関する研究

[要旨]

 全国から、200余りの針葉樹(主にスギ)の葉試料を集め、その葉面に沈着しているエアロゾルの元素組成を分析した。葉面に沈着したエアロゾルは、クロロホルムでエピクチクラワックスを溶解して捕集し、中性子放射化分析によって29元素を分析した。エアロゾルの葉面沈着は、5月頃の当年葉の出現と同時に始まり、経時的にその量を増して、冬季に最大量に達した後はほぼ一定となる。この沈着量は樹種に特有で、広葉樹に比べ針葉樹で多く、特にスギ、ヒマラヤスギなどで多い。沈着エアロゾルには、化石燃料の燃焼で発生した元素と土壌粒子に含まれた元素の他、海塩や火山ガスに由来する元素などが含まれるが、Au、Ag、Sb、Cl、Se及びIでは90%以上が、Br、Zn及びAsでは80〜90%が、Cr、Cs、Co及びVでは40〜60%が、そしてFeとNaでは約30%が人為起源もしくは海塩・火山ガス由来であると推定された。一方、Th、Hf、Rb、Ta、Ti、Mn、Al及び希土類元素は全て地殻物質起源であった。地殻物質の影響が最も少なかった元素の中、Sbはほぼ全量が人為起源と考えられ、エアロゾ


ルヘの濃縮係数も大きい(100倍以上、対地殻)。この元素は、植生や土壌中の賦存量が低く、かつ、一度環境に負荷されると容易に滞留・蓄積するので、大気を経由した汚染の良い指標となる。事実、汚染の激しい埼玉県では、スギの1年葉に、Sbがエアロゾル成分として100ng/g-新鮮葉以上沈着していた(cf.屋久島では、ca.10ng/g-新鮮葉)。Sbは大気輸送・沈着過程が硫黄・窒素酸化物と類似している可能性があり、酸性物質の沈着をモニターするための指標元素として有効と考えられる。


[キーワード]

エアロゾル、乾性沈着、スギ(Cryptomeria japonica)、元素組成、Sb、中性子放射化分析