研究成果報告書 J98C0113.HTM

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[C−1.東アジアにおける環境酸性化物質の物質収支解明のための大気・土壌総合化モデルと国際共同観測に関する研究]

(1)東アジアスケールの環境酸性化物質の総合化モデルの開発に関する研究

酸性物質の土壌影響モデルによる臨界負荷量推定に関する研究


[研究代表者]

 

農業環境技術研究所

●新藤純子

[農林水産省農業環境技術研究所]

 

企画調整部地球環境研究チーム

●新藤純子、袴田共之

環境資源部土壌管理科土壌保全研究室

●麓多門


[平成8〜10年度合計予算額]

22,928千円

(平成10年度予算額6,910千円)

[要旨]

 酸性物質の負荷による生態系影響評価のため、定量的な評価があまり行われていなかった硫酸吸着過程と鉱物風化過程について検討し、モデル化を行った。硫酸吸着に関して、金属水酸化物の表面水酸基のプロトン化とSO42-による外圏錯体形成を仮定した静電理論的モデル(Extended Constant Capacitance Model)が吸着実験結果の再現に有効であった。Freundlich型吸着等温式と、この理論モデルから導かれたSO42-吸着量とH+吸着量の関係に関する経験式を土壌酸性化モデルに導入した。鉱物風化モデルとして、既存のPROFILEモデルに火山ガラスの溶解実験結果から見積もったガラスの溶解速度定数導入し、火山灰の土壌への適用を可能にした。
 観音台と八郷で林外雨、林内雨、O層浸透水、土壌浸透水を継続的に採取し、生態系内における塩基の循環を推定することにより、樹冠、O層及び土壌層の酸緩衝能を評価した。花嵐岩質土壌である八郷で、土壌から供給される塩基量(鉱物風化+交換性塩基溶脱+有機物分解)は淡色黒ボク土の観音台よりむしろ大きいことが示され{火山灰影響を受けているためと考えられた。更に鉱物風化の寄与を、Sr同位体比に基づいて見積もった。この推定値及び他の火山灰土の溶解実験から推定した風化速度は、砂画分(0.02-2)の表面積を一次鉱物の表面積と仮定した改良型PROFILEモデルによる計算結果と対応したが、シルト画分以上(0.002-2)の表面積を用いた計算値は過大であり、火山灰土壌では砂画分が塩基の主な供給源であることが示唆された。
 化学的緩衝機構を考慮したダイナミックモデルを作成し、観音台と八郷の土壌水濃度の経時変化を推定した。植物吸収、鉱物風化などによる土壌層での元素の正味の消費(供給)速度が年間一定の条件下で、アカマツ林である観音台の土壌水中塩基と硝酸イオン濃度変化の推定値は実測値とよく一致した。落葉広葉樹林である八郷では、元素の消費速度に植物吸収量変化に対応する季節変化を考慮することで実測値の再現が可能であった。


[キーワード]

土壌酸性化、物質循環、鉱物風化、硫酸イオン吸着、土壌緩衝機構モデル