検索画面に戻る Go Research



(1.3Mb)

[B−10 地球温暖化によるアジア太平洋域社会集団に対する影響と適応に関する研究]

(2)流行モデルによる、動物媒介性感染症の地球温暖化に伴う拡大予測に関する研究

−デング熱、デング出血熱を中心に


国立環境研究所  環境健康部環境疫学研究室  

小野雅司

長崎大学熱帯医学研究所

高木正洋・五十嵐章・津田良夫


[要旨]

 地球の温暖化による重大な健康リスクが懸念されている動物媒介性感染症について、温暖化に伴うアジア太平洋域における分布域の拡大予測を行うことを目的に、国外の流行地での疫学調査(疾病調査と媒介蚊の生態調査)を実施した。
 デング熱の流行地域は、従来の東南アジア諸国とカリブ海沿岸諸国から、最近では中国南部、南太平洋地域、中南米へと拡大している。さらに、従来東南アジアに限局していた重症型のデング出血熱も1980年代初めのキューバでの流行以来、カリブ海諸国と南米へも広がりつつある(図1)。
 本研究では、アジア太平洋域社会集団への温暖化の影響を把握する目的から、中国南部及びタイ国を主要調査対象地域に選び、デング熱流行に係る諸要因解明のための調査を実施した。当該地域における過去の流行に関する資料の収集解析(ecological study)とともに、現地研究機関と協力して気温と媒介蚊の成長、生存との関係解明のための調査研究(野外実験並びに実験室実験)を実施し、いくつかの興味ある知見を得た。


[キーワード]

 デング熱、デング出血熱、、Aedes mosuquito、気温、生育実験