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[研究代表者] |
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国立環境研究所・大気圏環境部長 |
●鷲田伸明 |
[環境庁国立環境研究所] |
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大気圏環境部大気圏環境部長 |
●鷲田伸明 |
大気圏環境部大気反応研究室 |
●今村隆史、猪俣敏、古林仁 |
化学環境部計測技術研究室 |
●横内陽子 |
地球環境研究グループ温暖化現象解明研究チーム |
●向井人史 |
(委託先) |
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東京大学 |
●秋元肇 |
23、841千円
(9年度予算額7、920千円)
海洋上の低濃度オゾンの出現の理由を解明する目的で海洋上大気中の有機および無機ハロゲン化合物の濃度の測定、海塩粒子状でのオゾンの不均一反応によるハロゲンの放出過程の研究、さらに光化学オゾンにハロゲンが放出された際に生じるオゾン破壊のモデル実験が行われた。(1)海洋上の反応性有機ハロゲンの分布に関しては、ブロモホルム、ヨウ化メチルの緯度分布測定が行われ、ブロモホルムは低中緯度域では沿岸域で高濃度であり、外洋上でも特にプランクトンの多い海域や高緯度で濃度が高くなることが示された。(2)海洋上無機ハロゲンに関しては、ガス状無機臭素濃度の測定が北太平洋上で行われた。このガス状無機臭素濃度は日変動し、昼間高い濃度を示した。全体の濃度は冬季に高く数10ng/m3の量を示した。(3)海塩粒子上での不均一反応によるハロゲン放出の機構に関する研究においては、NaCl,NaBr,NaIなどの海塩モデル化合物、合成海塩、自然海塩とオゾンの不均一反応を中心に実験室的研究が行われた。オゾンと合成海塩、自然海塩の反応ではBr2の生成が見られ、その取り込み係数として〜1×10-3という大きな値が得られた。この結果から、この反応が海洋境界層における活性臭素の放出源として重要であることが試算された。(4)光化学オゾンに対するハロゲン添加の影響に関する研究においては、6-m3の光化学チャンバー内において炭化水素/NOx/空気の光照射を行い、生成する光化学オゾンの最大値の付近でCl2,Br2,I2のハロゲンを添加し、オゾン濃度への影響を調べた。その結果光化学オゾン濃度はこれらのハロゲンにより減少するが、そのだめには10-100ppb程度のかなりの量のハロゲンが必要であることが分った。以上の研究を総合すると、海洋上の低濃度対流圏オゾンの原因がハロゲンに起因するか否かについてはさらなる総合的な検討が必要であると判断された。
対流圏オゾン・有機ハロゲン化合物・無機ハロゲン・海塩粒子・不均一反応