研究成果報告書 J98B0613.HTM

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[B−6.陸域生態系の二酸化炭素動態の評価と予測・モデリングに関する研究]

(1)自然生態系の二酸化炭素変動機構のモデル化と予測

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[研究代表者]

農林水産省農業環境技術研究所地球環境研究チーム

●袴田共之

(委託先)

岐阜大学流域環境研究センター

●秋山侃、菊池多賀夫、小泉博、安藤辰夫、西條好廼、津田智、莫文紅、車戸憲二、大塚俊之(現在、山梨県環境科学研究所)、西村格(現在、富山大学)

[平成8〜10年度合計予算額]

6,156千円

(平成10年度予算額1,988千円)

[要旨]

 ササを林床植生にもつ冷温帯林生態系における炭素循環過程を定量的に解明し、これをモデル化するために、岐阜県高山市にある試験林で、森林樹木層、林床ササ層、土壌層における炭素の動態を6年間にわたって実測した。また、約1ヘクタールの試験林内における無機環境や植生量の変異・バラツキについても調査し、変動幅を明らかにした。
 その結果、樹木層には33種、1,868本の樹木が存在し、その合計乾物現存量が186.4ton/haであり、このうち、幹、枝、葉、根の重量はそれぞれ132.0、18.7、3.3、32.4ton/haであった。また、樹幹解析等によって求めた樹木層の年間炭素固定量は4.05ton/haと推定された。
 林床に生息するクマイザサ群落の平均現存量は、地上部が6.7ton/ha、地下部が5.9ton/haと推定され、炭素に換算したササ群落の純生産量は1.18tonC/ha/yrとなった。これを月別にみると、4・5・6・9・10・11月がプラス(固定)で、7・8月はマイナス(放出)となった。これは同地点で資源環境技術総合研究所が観測タワーで連続測定しているCO2フラックスからの結果とほぼ符合している。
 土壌からの炭素フラックスは、夏期に最大で600-650mg/m2・hr、積雪期には雪面から30−50mg/m2/hrが観測された。1日当たりの炭素フラックス量は地表面温度と高い相関があり(R2=0.86)、これをもとに計算した1994年から3年間の毎年の土壌からの炭素放出量は、6.03、5.78、5,03tonC/ha/yrであった。以上から、森林樹木、林床ササ群落、土壌を含めた森林生態系純生産量(NEP)は2.19tonC/ha/yrと推定された。
 林内の10m×10m格子点で、ササ群落の上と下で光環境を観測し、光環境の時・空間変化を明らかにした。また、同地点でササ現存量についても調べ、将来的には微細環境の変動を組み込んだ炭素循環モデルの構築を可能にした。

[キーワード]

クマイザサ、落葉広葉樹林、炭素循環、生態系純生産量、土壌呼吸