研究成果報告書 J98B0612.HTM

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[B−6.陸域生態系の二酸化炭素動態の評価と予測モデリングに関する研究]

(1)自然生態系の二酸化炭素変動機構のモデル化と予測

��熱帯林生態系におけるモデル化と予測

[研究代表者]

農林水産省農業環境技術研究所 地球環境研究チーム

●袴田共之

[ 農林水産省国際農林水産業研究センター]

環境資源部

●松本成夫

[平成8〜10年度合計予算額]

6,957千円

(平成10年度予算額2,101千円)

[要旨]

 熱帯林は世界の森林面積のおよそ40%を占められており、二酸化炭素の変動機構を明らかにするためには、熱帯林における炭素動態を明らかにすることが重要である。そこで、本研究では、タイ国コンケンの熱帯林を対象とし、植物一土壌系における炭素循環を定量的に明らかにし、モデル化するとともに、熱帯林生態系の二酸化炭素変動予測を行うことを目的とする。
 対象とした熱帯林の高さは25mであり、落葉落枝量は5.1tC/ha/yr、落葉層の現存量は平均4.1tC/haであった。落葉層の分解による二酸化炭素放出量は0.6tC/ha/yrであり、土壌への炭素供給量は4.5tC/ha/yrと見積もられた。また、細根量は1.2tC/haであり、細根から土壌への炭素供給量は0.2tC/ha/yr、呼吸による二酸化炭素放出量は11.9tC/ha/yrと見積もられた、林床からの二酸化炭素放出量は18.OtC/ha/yrであり、土壌からの二酸化炭素放出量は5.5tC/ha/yrと見積もられた。土壌炭素現存量は41.4tC/haである。土壌では毎年0.8tC/ha/yrの炭素が減少していると見積もられた。
 熱帯林では土壌への炭素蓄積が認められなかった。これは、落葉落枝量に比べて、有機物の分解が早いためである。それ故、土壌炭素現存量は温帯林に比べてかなり低い。すなわち、熱帯林における炭素循環の制限要因は落葉落枝などの炭素供給量であった。このことより、今後、気温の上昇もしくは降雨量の増加があったとしても、土壌からの二酸化炭素放出量は増加しないと予想される。また、落葉落校量の増加があったとしても、有機物分解速度が速いため、土壌に炭素が蓄積することは難しいと予想される。

[キーワード]

熱帯林、炭素循環、落葉落枝、土壌呼吸、東北タイ