研究成果報告書 J98A0532.HTM

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[A−5.紫外線増加が生態系に及ぼす影響に関する研究]

(3)紫外線増加が海洋基礎生産量に与える影響に関する研究

�∋膤粟�増加が海洋基礎生産量に与える影響のモデル化に関する研究


[研究代表者]

 

創価大学工学部生物工学科

●田口哲


[平成8〜10年度合計予算額]

7,987千円


[要旨]

 オゾン層破壊に伴う太陽紫外線増加が、海洋基礎生産量に与える影響をモデル化するために、海水中での紫外線の透過特性やその日周変動と季節変動を調べ、海水中の紫外線分布を明らかにした。海洋において最も重要な基礎生産者である植物プランクトン群集を用いて太陽紫外線を、培養植物プランクトン種を用いて紫外線灯を用いて照射実験を行った。
 紫外線の海水中での日周変化は、空中での日周変化と同様にsin曲線で正確にモデル化できることが明らかとなった。紫外線の海水による減衰率は、沿岸域では、晩春には植物プランクトン・クロロフィルa濃度に依存するが、夏には、溶存有機物質の濃度に依存し、その結果として、植物プランクトンが光合成を行える真光層内での紫外線相対透過深度は、冬期に深く、夏期に浅くなるという季節変動を示すことが明らかとなった。
 沿岸域の植物プランクトン群集の光合成活性は、太陽紫外線により阻害を受けるが、10μm以下の比較的小型の植物プランクトン群集が優占しているときには、海表面でのUVBによる光合成活性の阻害率が高くなる傾向があり、UVB照射量が高くなると、その影響は強くなることが明らかとなった。培養植物プランクトンの成長に対するUVBの影響は、珪藻、ハプト藻、及び緑藻では、大きく異なり、緑藻がUVBに最も耐性があり、珪藻が最も耐性が弱いことが明らかとなった。
 本研究により、オゾン層の破壊に伴う紫外線の増加は、紫外線防御機構が未発達な珪藻に影響を与え、珪藻が生息している表層混合層は夏期に浅くなり、増加した紫外線の影響をまともに受けるため、植物プランクトンの成長に多大な影響を与えると予想される。このことは、植物プランクトンの種の変遷を変化させることにつながるため、紫外線放射量の増加は現在まで長時間かかって築き上げられてきた海洋生態系の大きな撹乱要因となり、海洋の基礎生産量に影響を与えることが明らかとなった。


[キーワード]

透過率、基礎生産、阻害率、サイズ分画、UVB/(UVA+PAR)比