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[研究代表者] | |
水産庁西海区水産研究所 海洋環境部 生物環境研究室 |
●清本容子 |
[水産庁西海区水産研究所] |
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海洋環境部 生物環境研究室 |
●清本容子・岡村和麿・長田 宏・井関和夫*現 中央水産研究所 |
12,043千円
(平成9年度予算額 6,020千円)
東シナ海の環境保全のためには、中国大陸から河川等を経由して流入する汚染物質の挙動解明と海洋生態系への影響評価が不可欠である。そこで、海水中に存在する有害化学物質のサンプリング技術開発のため、船上用濃縮捕集システムを設計・試作し、1996年5月及び1997年7〜8月に東シナ海の太陸棚域及び沖縄舟状海盆において実施された調査船航海において性能試験及びサンプリングを行った。また、同時に水温・塩分等の関連データを収集し、これらと併せて検討することで海水中における有害化学物質の挙動を明らかにすることを試みた。表層水サンプルの分析を行った結果、濃度はきわめて低いもののHCH類、クロルデン類等の有機ハロゲン化合物を検出することができた。また、これらサンプルの分析を通して、きわめて微量であっても高い精度で分析する技術を確立することができ、海域における各種有害化学物質のモニタリングに十分な性能を有したサンプリングシステムを構築することができた。HCH類に関しては、各異性体の濃度の水平分布のパターンが異なっていることから、供給経路及び海水中での挙動が異性体ごとに異なる可能性が示唆された。特にβ−HCHは表層においては中国大陸沿岸水起源の低塩分水張り出しの内部及び中・底層水中で高濃度となるなど空間的な分布の偏りが顕著であり、陸水及び海底堆積物が供給源となっていると考えられた。また、クロルデン類でも堆積物がその供給源となっている可能性が示唆された。
東シナ海、有害化学物質、濃縮捕集システム