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[研究代表者] | ||
水産庁中央水産研究所 |
●山田 久 |
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[水産庁中央水産研究所] |
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環境保全部 |
水質化学研究室 |
●山田 久・池田久美子・小山次朗 |
[水産庁日本海区水産研究所] |
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資源管理部 |
底魚資源研究室 |
●南 卓志 |
(委託先) |
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大阪市立環境科学研究所 生活衛生課 |
●福島 実・先山孝則 |
41,379千円
(平成9年度予算額 12,573千円)
海域に流入した疎水性有害物質は懸濁物に吸着し、最終的には底泥に堆積する。底泥堆積有害物質は底層の食物連鎖を通して高次栄養段階の生物に移行・蓄積されると考えられるが、その詳細は不明である。現地調査による底泥と底魚類の有害化学物質濃度との関係の解析および食物連鎖構造と生物の有害化学物質濃度との関係の解析あるいは飼育実験による底泥中有害化学物質のイソゴカイへの移行・濃縮の実験的解析により検討し、以下のことが明らかになった。東京湾、周防灘および七尾湾の底泥と底魚の有害化学物質濃度を測定し、濃縮率を試算すると、海域による濃縮率の顕著な差異は認められなく、底魚類の有害化学物質濃度は底泥に影響を強く受けていることが推察された。Co−PCB・TBTおよびTPTの底魚類への濃縮率は1以上であり、これらの有害化学物質はPCDDsとPCDFsとは異なり、底泥から底魚類に高濃度に蓄積されることが明らかになった。
七尾湾の現地調査において採集された生物の胃内容物や窒素同位体比から各種生物の栄養段階を解明するとともに、生物の有害化学物質濃度を測定し、食物連鎖を通した蓄積を解析した。ダイオキシン類(PCDDsおよびPCDFs)と有機スズ化合物のTBTは食物連鎖を通して濃縮されなかったが、Co−PCBおよびTPTは高次栄養段階生物で高く、なかでも底泥から多毛類を経由する経路が重要な蓄積経路であることが示唆された。食物連鎖を通して蓄積される有害化学物質は、経口的に吸収されやすく、かつ、排泄され難い経口濃縮係数の大きい化学物質であることが明らかになった。食物連鎖を経由して濃縮されたCo一PCBおよびTPTは、イソゴカイの飼育実験において底泥からイソゴカイへの濃縮率も大きく、これらの有害化学物質が食物連鎖を経由して濃縮され易いことが実験的にも確認できた。
生物濃縮、食物連鎖、有機スズ化合物、ダイオキシン類、コプラナーPCB