![]() | |
---|---|
![]() |
[研究代表者] |
||
建設省土木研究所 |
●中村 栄一 |
|
[建設省 土木研究所] |
||
下水道部 |
新下水処理研究官 |
●中村 栄一 |
三次処理研究室 |
●鈴木 穣・重村 浩之 |
|
汚泥研究室 |
●落 修一・原田 一郎 |
28,575千円
(平成9年度予算額 9,331千円)
本研究は地球温暖化防止のため、下水処理システムからのメタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)の排出抑制技術の開発および消化ガスの有効利用方策の検討を目的としている。下水処理システムは、水処理システム、汚泥処理システムから成るが、ここでは過年度の研究1)により温室効果ガス放出量の大きいことが明らかとなった水処理システムと汚泥の流動焼却プロセスを対象に排出抑制技術の開発を行った。さらに、汚泥消化ガス(CH4)の炭素は元来大気中の炭酸ガスであることから、温暖化防止対策の一環として消化ガスの有効利用方策を検討した。
水処理システムにおける研究では、反応槽に担体を投入した嫌気、無酸素、好気の組み合わせプロセスから成るパイロットプラント実験を行い、N2Oの生成因子等について検討した。その結果、流入下水中の有機物濃度の低下時や低水温期の脱窒活性の低下時にN2O生成が高かった。また、全国処理場の水処理システムからのCH4、N2Oの年間放出量を推定するため、実下水処理場でCH4、N2Oの放出量の補足調査を実施した。その結果、CH4については年間約8,000tと推定されたが、N2Oについては処理場間の相異が大きく推定は困難であった。
高分子凝集剤汚泥の流動焼却プロセスを対象としたN2O排出抑制技術の開発においては、実験炉及び実炉を用いて、フリーボードの燃焼温度と汚泥中の窒素のN2O転換率との関係を調査した。その結果、現在の燃焼温度(750〜800℃)を約50℃上昇させることにより、N2O排出係数を平均1,200g・N2O/汚泥tから800g・N2O/汚泥tに削減できることが判明した。また、温度上昇による炉の建設費や耐用年数等への影響も小さいことが判明した。
消化ガスは消化槽の加温に使用され、残余は余剰ガスとなるが、実務的には消化ガスの有効利用は余剰ガスの有効利用と同義である。中小の処理場まで視野に入れた消化ガスの有効利用のためには、余剰ガスの貯留・運搬が不可欠である。そこで各種変数を組み入れた余剰ガス生成モデルを作成し、規模別、地域別、月別の余剰ガス生成量の予測を可能とした。また、消化ガスの貯留方法として吸着剤に吸収させる貯留技術が有効であることが判明した。
温室効果ガス、メタン、亜酸化窒素、下水処理、汚泥処理、消化ガス