研究成果報告書 J96D0422.HTM

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[D−4 サンゴ礁生態系の維持機構の解明とその保全に関する研究]

(2)サンゴ礁生態系に及ぼす環境ストレスの影響の解明

�▲汽鵐款未砲�ける栄養環境とその影響


[研究代表者]

中央水産研究所海洋生産部低次生産研究室長  ●松川康夫

[中央水産研究所]

海洋生産部

低次生産研究室

●市川忠史

 

物質循環研究室

●下田 徹


[平成6〜8年度合計予算額]

9,226千円

(平成8年度予算額 3,091千円)


[要旨]

 開発によるサンゴ礁の衰退が懸念されており、サンゴ礁の水質環境基準策定が急がれる。そこで、サンゴ礁の水・底質環境とサンゴの生育状況や生理状態がどのような関係にあるか、またサンゴの生理状態は何を指標にしたらよいかを知るため、沖縄諸島周辺のサンゴ礁における水・底質、サンゴ生育状況、核酸比(RNA/DNA)、安定同位体比(δ13C)を観測した。サンゴ生育状況は栄養塩が増えるとともに傾向的に悪化し、ソフトコーラルや大型海藻に交替した。サンゴが保全される水質の目安はアンモニアと硝酸・亜硝酸(NH4-N+NO3-N+NO2-N)で100μM、リン酸(PO4-P)で10-1μMのそれぞれ低い値と推察された。従って、懸濁態のチッソは硝酸・亜硝酸と、リンはリン酸とそれぞれ同程度存在したことを考慮しても、サンゴ保全の水質基準は現行の類型I(全チッソ14.3μM、全リン0.7μM)に比べて特にチッソについて厳しくする必要があると考えられた。トゲスギミドリイシの核酸比は貧栄養域では1.5、富栄養域では1.0まで下がり、次第に大型海藻やソフトコーラルに交替したが、反対にハナヤサイサンゴの核酸比は貧栄養域の1.0から富栄養域の2.0と高くなり、サンゴの核酸比がサンゴの成長・増殖に関わる生理状態を表し、トゲスギが貧栄養に、ハナヤサイが富栄養に適応していることが示唆された。また、サンゴ共生藻の炭素安定同位体比と共生藻とサンゴ虫の差(△δ13C)の間には概ね正の相関が見られ、共生藻の光合成活性が高くなるほどサンゴ虫が炭素を外部から取り込む割合が増えること、つまり共生藻の光合成が活発になるとサンゴ虫は光合成産物を摂餌のための運動や粘液形成に向けること、つまりより活発で健康になることが示唆された。


[キーワード]

サンゴ礁、サンゴ生育状況、水質、核酸比、安定同位体比