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[研究代表者] |
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農業総合研究所海外部アメリカオセアニア研究室 ●中川光弘 |
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[農林水産省 農業総合研究所] |
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海外部 |
アメリカオセアニア研究室 |
●中川光弘 |
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国際関係研究室 |
●明石光一郎 |
農業構造部 |
環境経済研究室 |
●合田素元・矢部光保・西澤栄一郎 |
経済政策部 |
需給研究室 |
●伊藤順一 |
企画連絡室 |
研究交流科 |
●鈴木宣弘 |
[農林水産省 国際農林水産業研究センター] |
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海外情報部 |
●小山 修・坪田邦夫・小林弘明 |
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企画調整部 |
●大賀圭治 |
24,081千円
(平成8年度予算額 8,163千円)
世界の食糧問題は、世界全体として見た場合には、改善の方向に向かっており、途上国人口に占める飢餓人口の割合は1970年代初頭の35%から90年代初頭の20%へ低下している。しかし、地域的には偏りが見られ、特にサブサハラアフリカと南アジアでは食糧問題の改善が遅れている。また、同じ国内でも都市と農村の貧困層、乳幼児、児童、女性の栄養状態の改善が遅れており、地球温暖化はこのような階層の食糧問題の改善を遅らせる可能性がある。
地球の平均気温は地球温暖化の影響もあって1980年代以降上昇傾向を示しているが、このような中で主要穀物輸出国のアメリカ合衆国やオーストラリアでは穀物単収の変動性が高まっている。世界の穀物需給は、1980年代の過剰基調から90年代半ば以降の逼迫基調へその需給基調が変化しており、世界の穀物在庫水準が低下している。特にこれまで世界の穀物需給の安定化に大きく貢献してきたアメリカ合衆国では、財政支出の削減のため今後政府在庫の水準を低く維持することが見込まれており、世界の緩衝在庫機能が全体的に低下している。このような中で、地球温暖化に伴う主要穀物輸出国での穀物単収変動の拡大は、世界の穀物市場をさらに不安定にする要因となるであろう。
世界食料需給モデルを使った影響予測によると、地球温暖化によって小麦とトウモロコシの国際価格が上昇することが予測される。また、アジア、中南米を中心に需給バランスが悪化し、2025年には地球温暖化のため途上国全体で穀物・大豆の輸入量が5,800万トン増加することが予測される。地球温暖化は、特に外貨不足に悩む輪入途上国の食糧安全保障を脅かす要因になる可能性がある。
地球温暖化、国際食料需給、世界農業モデル、食糧安全保障