![]() | |
---|---|
![]() |
[研究代表者] |
|
資源環境技術総合研究所 |
●石坂丞二 |
[通商産業省 工業技術院 資源環境技術総合研究所] |
|
環境影響予測部 |
●水野建樹・石川公敏 |
海洋環境予測研究室 |
●中田喜三郎・石坂丞二 |
14,649千円
(平成7年度予算額 4,956千円)
宇宙開発事業団によって日本海浜田沖に設置された光学ブイシステムを用いて、平成5年8月末から11月末までの3ケ月間、日射量の減少と混合層の発達、そして11月初旬に最大値を示す植物プランクトンの増加を観測した。単純な理論で解析したところ、混合層の発達にともなって混合層中に栄養塩が供給され、植物プランクトンが増殖したことが示された。そして日射量の減少と増殖した植物プランクトンの自己遮光効果に併せ、混合層が発達したことによって、植物プランクトンの生長が光津速によって阻害された可能性が示唆された。
次にこのデータを元に、乱流一次元モデルに、光モデル、一次生産モデル、生態系モデルを組み合わせた。乱流一次元モデルでは、現場の混合層の発達がある程度は再現でき、また光モデルを組み込むことによって、海洋表層での混合層の発達や熱の収支に植物プランクトンが影響を与える可能性があることが明かとなった。さらに生態系モデルを組み合わせることで、秋季の混合層の発達による栄養塩の供給で植物プランクトンの増殖が起こることも明かとなった。
現場観測データを初期値とし、気象台データを用いて駆動し、衛星で観測された浜田沖の、春秋季2回のブルームがおこる植物プランクトンの時間変動をある程度再現した。このうち秋は混合層の発達によって供給された栄養塩で起こり、その後さらに混合層が深くなることで減少を始めることが明かとなった。また春季は日射によって海表面が成層を始めることによって、冬場の深い混合によって表層に供給された栄養塩を利用して増殖が起こることが明かとなった。
化学物質を始めとした多種類の船舶データ、リモートセンシングにりる広範囲のデータ、係留ブイでの時間的に連続した観測を、物理モデルと生態系モデルを組み合わせた生物―物理モデルを用いて解析していくことによって、船舶だけではとても観測しきれない海洋環境を総合的に理解する上で役立つことを示すことができた。
水色リモートセンシング、光学ブイ、生物物理モデル、日本海、植物プランクトン