研究成果報告書 J95C0323.HTM

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[C−3 酸性物質の臨界負荷量に関する研究]

(2)土壌における臨界負荷量に関する研究

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[研究代表者]

農業環境技術研究所 環境資源部 土壌保全研究室  ●麓 多門

[農林水産省 農業環境技術研究所]

環境資源部 土壌管理科 土壌保全研究室  ●麓 多門・岩間秀矩


[平成5〜7年度合計予算額]

7,114千円

(平成7年度予算額 2,102千円)


[要旨]

(1)火山灰土壌と花崗岩質土壌のカラムに3種類の人工雨を85週間負荷し、酸緩衝能を比較した。火山灰土壌はSO42-吸着能が遥かに高いが、既に多量のSO42-が吸着されていたため人工雨からのSO42-吸着量は花崗岩質土壌と大差がなかった。物質収支から求めた鉱物溶解によるMgとCaの供給速度は火山灰土壌では欧米の土壌の報告値より一桁高いレベルに相当し、鉱物溶解によるカチオン供給速度が高いことが示唆された。また、土壌が酸性化した場合溶出するAl濃度は火山灰土壌が著しく高かった。(2)火山灰土壌の20−2000μm画分と花崗岩質土壌の2−2000μm画分の元素溶出速度をカラム流通法で測定した。火山灰土壌はpH4でのMgとCaの定常的な溶出速度が花崗岩質土壌の約10倍で、鉱物溶解によるカチオン供給速度が高いことが示された。またSiに対する溶出速度比から、主にMgやCaの含有率が高い鉱物が溶解してMgとCaが供給されていると推定された。花崗岩質土壌はpH3でMgの溶出速度がpH4のほぼ10倍となり、Mgの供給源である鉱物の溶解速度のpH依存性が高いことが示唆された。(3)林地火山灰土壌のSO42-吸着能は土壌による差が大きかったが、重回帰分析により主にアロフェンのAl含量と土壌の粘土含量に依存すると推定された、またSO42-吸着能が高い土壌には既に多量のSO42-が吸着されていた。このため土壌溶液のSO42-濃度が上昇しても吸着量の増加は比較的小さいと推定され、SO42-吸着による酸緩衝能は土壌のSO42-吸着能の高さとは必ずしも一致しないと考えられた。
(3)農業環境技術研究所構内の林地での観測では、O層浸透水は樹冠雨に比べ塩基性カチオンとNO3-濃度が顕著に増加しており、O層内で硝化により多量のプロトンが生成されると同時に塩基性カチオンの溶脱で中和されていることが示唆された。樹冠雨とO層浸透水のNH4+、NO3-濃度およぴ樹冠雨量から、O層内の硝化によるプロトン生成速度はおよそ5kmolCha-1yr-1と推定された、したがって、観測地点では土壌に対する降水中のプロトンの影響は小さいと考えられた。


[キーワード]

酸緩衝能、硫酸イオン吸着、火山灰土壌、土壌カラム、鉱物溶解