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[研究代表者] |
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森林総合研究所森林環境部 |
●垰田 宏 |
[農林水産省 林野庁 森林総合研究所] |
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森林環境部 植物生態科 |
●垰田 宏 |
関西支所 造林研究室 |
●井鷺裕司 |
12,898千円
(平成7年度予算額 4,349千円)
大気汚染の指標として用いられる蘚苔類・地衣類について、人工酸性雨による酸性環境下での生育障害の違いと野外における分布特性との関係を調査した。高濃度(pH2.4以下)の酸で処理した蘚苔類の細胞は原形質分離を生じ、約1日後にはクロロシスが観察される。生存した組織があれば、新しいシュートの伸長が見られる。細胞が枯死せず、かつ、有害な濃度であれば、シュートの伸長が抑制される。致死的であった最低濃度、生存してシュートの伸長が見られた最高濃度を絶対的な酸性雨耐性の指標とすると、大気汚染地域に深く進入する種類は郊外のみに生育する種類より、針葉樹を好む種類は広葉樹だけに生育する種類より耐性がやや大である。しかし、耐性が低い種でも致死的濃度はpHで3.0未満であり、実際に工業地帯の着生砂漠地域で採取された酸性の雨水(pH4前後、EC60〜80μS/cm)で生育が阻害されることはなかった。
酸性耐性とスーパーオキシドデスミュターゼ活性の相関を数種の蘚苔類、地衣類を用いて調査した。ハイゴケでは致死濃度の10-2meq/lの硫酸処理区ではSOD活性は全く上昇しなかったのに対して、10-3meq/lの硫酸処理区ではSOD活性がほぼ倍増した。コモチイトゴケでは10-2meq/lの硫酸処理区、10-3meq/lの硫酸処理区ともにSOD活性に差はなく、また、特に目立った経時変化も認められなかった。
1970年以降、大気汚染濃度が著しく減少した東京都内、比較的低濃度で推移してきた宇都宮市周辺において、着生蘚苔類植生の変化を調査した。かって、東京都の山の手線内部と以東には、着生蘚苔類が全く見られない地域(着生砂漠)が広範囲に存在していたが、現在では数種類の蘚苔類が普通に見られるようになった。1975年の調査では、宇都宮市の中心部、東部の内陸工業団地の一部に着生植生が貧弱な地域が存在していたが、再調査の結果、多数の蘚苔類や葉状地衣類の生育が認められた。
蘚苔類、人工酸性雨、汚染耐性、環境ストレス、SOD活性