研究成果報告書 J95B0330.HTM

検索画面に戻る Go Research



(1,095Kb)

[B−3 地球温暖化に係わる対流圏大気科学の研究]

(3)対流圏におけるオゾン増加原因の解明に関する研究


[研究代表者]

国立環境研究所  ●井上 元

[環境庁 国立環境研究所]

地球環境研究グループ

温暖化現象解明研究チーム

●向井人史、町田敏暢

大気圏環境部

 

●井上 元

 

大気動態研究室

●遠嶋康徳、高橋善幸

化学環境研究部

計測技術研究室

●横内陽子

(委託先)

東京大学

●秋元 肇

 

千葉大学

●竹内延夫


[平成5〜7年度合計予算額]

55,979千円

(平成7年度予算額 16,423千円)


[要旨]

 60年代の終わりまでは、対流圏オゾンの起源は成層圏オゾンが降下したものであると考えられてきた。その主な理由はバックグラウンドでの対流圏オゾン濃度の年変動が、対流圏のオゾンの年変動パターンに2〜3ヶ月遅れており、これは成層圏オゾンの影響が対流圏に及ぶのに要する時間であると考えられたからである。現在では少なからぬ対流圏オゾンが対流圏における光化学反応により生成していると認識されている。汚染された都市域では夏の光化学反応によりオゾン濃度が100ppbにも達することは良く知られている。これは酸化窒素が均一触媒として働き、炭化水素を酸化する際にオゾンを生成するためである。人為的な活動のスケールは過去50年間に極めて大規模になり、大気汚染のスケールも大陸規模に拡大した、このためバックグラウンドでのオゾン濃度にもその影響が強く出るようになったと考えられている。しかしながら、今でもなお、対流圏オゾンの主たる起源は成層圏オゾンであると考えられており、このプロセスの理解と定量的な評価が重要な研究課題である。夏期のオゾン降下の頻度・規模が小さいと考えられる時期の航空機観測を行った結果を述べる。
 対流圏オゾンの主たる消滅過程は地上にある。そのため、オゾンの高度分布が一股に5�劼茲蠅盥盥眦戮楼貭蠅任△襪里紡个掘∈�合層の内部ではオゾン濃度が半分程度に低くなっている場合が一般的となる。もし、光化学起源のオゾン生成が無いとすれば、この濃度勾配や渦拡散係数の測定からオゾンの地表へのフラックス、あるいは地表面での消滅速度が見積もられる。しかし、地表面の種類や状態で消滅速度が大きく異なり整理がつかないのが現状である。また、一般的に海洋性大気中のオゾン濃度は陸域よりも低く、その主要な原因は人間活動による光化学オゾンの発生が陸域で大きいためと考えられているが、逆に、海洋では海洋由来のハロゲン原子によりオゾンが破壊されているためとも考えられる。海洋上大気中のハロカーボンの測定結果を報告する。
 対流圏オゾンのソースの内、人為起源のものがどの程度であるかを明らかにすることは、温室効果気体としてのオゾンが、将来の人間活動の活発化により窒素酸化物や炭化水素の排出の増加により、どの程度増加するかを予想する上で重要である。とりわけ東アジアでは日本や韓国が既に先進国として大量の窒素酸化物を放出しており、中国・東南アジアの急速な経済発展により更に排出が大規模になることが懸念されている。そのため、東アジア・西太平洋のオゾン濃度の変動データを解析し、光化学起源のオゾンの増加傾向があるかどうかを調べることは重要である。わが国の観測結果からトレンド解析を行った結果を報告する。


[キーワード]

対流圏オゾン、OHラジカル、臭素化合物、温室効果気体