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[環境庁 国立環境研究所] |
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大気圏環境部 |
●鷲田伸明 |
大気圏環境部 大気反応研究室 |
●今村隆史・猪俣 敏・奥貫幸夫・古林 仁 |
47,395千円
(平成7年度予算額 12,941千円)
温暖化の現象解明を対流圏化学の切り口から行う目的で、高感度光イオン化質量分析計の開発とそれを用いたフリーラジカル反応の研究が行われた。
1.フリーラジカルの直接検出とそれを用いたラジカル反応研究を行うための高感度光イオン化質量分析計の装置開発が行われ、完成された装置は従来の世界レベルの装置の約50−100倍の感度を有するものとなり、RO2ラジカルの質量分析計による直接検出をはじめて可能にした。2.RO2ラジカルの代表であるHO2およびCH3O2ラジカルの光イオン化質量分析計による直接検出が初めて行われた。さらに対流圏大気化学において重要な上記のラジカルとNOの反応(RO2+NO
→RO十NO2、NO→NO2変換反応)の反応速度が測定され、従来のIUPACやNASAのデータベースに記載されている値が50%修正された。3.アセトアルデヒドの光解離初期過程の研究が光イオン化質量分析計を用いて行われた。特に大気中のOH、HO2濃度を直接制御しているCH3とHCO生成の量子収率の決定が行われた。4.種々の炭化水素類が大気中に放出されたときに生成する置換メチルラジカル(CH2X)と酸素分子の反応速度が光イオン化質量分析計を用いて測定された。特に有機ラジカルに種々の置換基がついた場合、反応速度がどのような影響を受けるか(置換基効果)について、ラジカルのイオン化電圧や電気陰性度から反応速度の一般則構築へのアプローチがなされた。5.メタンの酸化反応に係わるラジカル反応、特にCH3+O2+MやHCO+O2の反応の速度の同位体効果(D/H、13C/12C)の研究が光イオン化質量分析計を用いて行われた。
フリーラジカル、光イオン化質量分析計、HO2ラジカル、同位体、反応速度