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[研究代表者] |
農業環境技術研究所 ●袴田共之 |
[農林水産省 農業環境技術研究所] |
企画調整部 地球環境研究チーム ●池田浩明・岡本勝男・袴田共之 |
11,362千円
(平成7年度予算額 4,048千円)
温室効果ガスである二酸化炭素の挙動や炭素循環機構の解明が急務となっているが、土地利用の地理的配分を考慮した、面的な炭素循環を解明した研究は少ない。本研究は、リモートセンシング技術を用い、地域生態系の炭素収支を広域的に推定する手法開発を目的とした。テストエリアを茨城県恋瀬川流域とその周辺域とし、ランドサットTMデータを用いた土地被覆分類を行った結果、この地域には、畑地・広葉樹林(広葉果樹を含む)・針葉樹林・水田生態系が卓越していた。次に、TMデータを利用して、植生および土壌の炭素現存量を推定した。さらに、生態系ごとに炭素動態モデルを開発し、対象地域の炭素収支を算出した。対象地域の炭素収支の平均値は、畑地で−151gCm-2yr-1、広葉樹林で−60gCm-2yr-1と赤字の収支を示したが、水田で2.8gCm-2yr-1、針葉樹林で543gCm-2yr-1と黒字の収支を示した。また、どの生態系でも、炭素収支の分布には著しい空間的バリエーションが認められた。対象地域の炭素収支を積算した結果、畑地・広葉樹林は赤字の収支を示したが、水田ではわずかに黒字、針葉樹林では大きな黒字の収支を示し、地域全体としては炭素のシンクとして機能していると見積られた。
炭素動態モデル、炭素収支、地域生態系、リモートセンシング、ランドサットTMデータ