研究成果報告書 J94B0260.HTM

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[B−2.メタン・亜酸化窒素の放出源及び放出量の解明に関する研究]

(6)閉鎖性水域からの放出量の解明に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所

●野尻幸宏

[環境庁国立環境研究所]

 

地球環境研究グループ 温暖化現象解明研究チーム

●野尻幸宏


[平成2〜6年度合計予算額]

26,418千円(平成6年度予算額 5,263千円)


[要旨]

 水中のメタンおよび亜酸化窒素を定量する自動分析装置を開発し、日本国内の多くの湖沼、内湾で水中のメタン、亜酸化窒素濃度の測定に応用した。
 富栄養湖沼である霞ヶ浦では、メタンと亜酸化窒素の濃度を継続的に観測し、定量的解析を行った。霞ヶ浦のメタン濃度には明確な季節変化があり、12〜3月と9月の高濃度期、4〜7月の低濃度期、11月の濃度極小期がみられた。濃度変化を引き起こす原因は、底泥のメタン生成量変化、水中のメタン酸化速度変化、水面でのガス交換速度変化の複合であった。霞ヶ浦のメタン生成量年間平均値は6.1mgCH4/�屐殖筍瓧�で、うち3.1mgCH4/�屐殖筍瓧�が大気への拡散フラックス、3.0mgCH4/�屐殖筍瓧�が水中の微生物による酸化分解量であった。亜酸化窒素の濃度変化は、水温の変化に対応して冬に高く夏に低かった。大気中の亜酸化窒素の飽和溶解量を差し引いた過飽和濃度には、季節性がみられなかった。深い中栄養湖である野尻湖の表層水中メタン濃度は、春から夏にかけて上昇し8月の極大と11月に至る減少が見られた。12月の湖水混合期には、底層に蓄積したメタンが一気に全層にもたらされ最高濃度となった。冬季混合期の測定では、底泥で生成するメタンが常時表層にもたらされ、高いメタン濃度が継続した。貧栄養湖から富栄養湖にいたる多数の国内湖沼の水中メタン濃度実測値から、メタンフラックスを推定した。水中メタン濃度と栄養度の指標であるリン濃度の関係を数式化し、国内全天然湖沼のメタン放出量1.6GgCH4/yを得た。
 富栄養化している内湾として、東京湾の水中メタン濃度の観測を行った。メタンの拡散フラックスの観測期間18ヵ月の平均は4.1mgCH4/�屐殖筍瓧�であり、富栄養湖沼の霞ヶ浦をやや上回る量であった。このことは、沿岸海域のフラックスの重要性を意味するものであり、他の海域の観測の必要性が明らかになった。


[キーワード]

メタン、亜酸化窒素、湖沼、内湾、フラックス