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[研究代表者] |
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森林総合研究所 |
●森川 靖 |
[農林水産省 林野庁 森林総合研究所] |
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森林環境部 植物生態科長 |
●森川 靖 |
環境生理研究室 |
●松本陽介、重永英年、上村 章 |
生産技術部 植生制御研究室 |
●奥田史郎 |
[農林水産省 国際農林水産業研究センター] |
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研究第一部 |
●丸山 温、高橋正通、日高輝展、山口武夫 |
[マレーシア国 マレーシア森林研究所(FRIM.Forest Research Institute of Malaysia)] |
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環境科学部(Environmental Sciences Division) |
●Son Kheong Yap |
29,827千円
国内のファイトトロンを用いて異なる明るさでShorea taluraの苗木を育て、成長、葉の単位葉面積当たりの重さおよび光照射と気孔反応を調べた。マレーシア森林研究所(FRIM)において、苗畑に生育するフタバガキ科苗木数種(Shorea
leprosura. S. ovalis, S.parvifolia, Dr.yobalanopus aromatica, Hopea odorata,
Neobalanocarps heimii)を用いて、光強度と気孔コンダクタンス(Gw)の関係を検討した。また、熱帯多雨林の主要構成樹種であるフタバガキ科数種(Shorea
platyclados. S. assamica. Hopea odorata. Neobalanocarps heimii, Dryobala nopus aromatica)の自然条件下で生育する成木と苗畑に成育する苗木の葉の水分特性をP−V法によって調べ比較した。さらに、H.odorataとN.heimeiiについて、温度一光合成関係を検討した。
その結果、Shorea taluraの苗木の上長成長のピークは庇陰下にあった。しかし、暗い処理区ほど単位葉面積あたりの乾重が小さく陰葉化が進み、光照射に対して気孔開度の大きなハンチング現象が認められ、さらに気孔反応の鈍化が著しくなることが認められた。気孔コンダクタンスの検討の結果、日本産広葉樹よりも熱帯のフタバガキ科樹木のGwは低い範囲にあり、Gwに著しい日中低下が認められた。このようなGwにおける特徴が、耐陰性は高いが成長が比較的遅いというフタバガキ科樹種の特性の理由の一つになっていることが示唆された。
また、現地でのP−V特性の検討の結果、苗木よりも成木のほうが、いずれの樹種においても著しく乾燥抵抗性が高く、葉も厚かった。このことから、それぞれの樹種で程度の差はあるが、多雨林樹種と言えども高樹高になることで生じる水ストレスに、適応していることが明らかになった。さらに、炎天下でよく成育するH.odorataの光合成の最適温度は、耐陰性の高いN.heimiiより高温側にあり、生態的な種分布や成長特性と対応していることが示された。
熱帯多雨林、フタバガキ科樹種、気孔反応特性、水分特性、温度−光合成特性