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[研究代表者] |
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国立環境研究所 |
●可知直毅 |
[環境庁 国立環境研究所] |
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地球環境研究グループ 上席研究官 |
●古川昭雄 |
野生生物研究チーム |
●椿 宜高、高村健二、富山清升 |
森林減少・砂漠化研究チーム |
●可知直毅、奥田敏統、木村勝彦、藤間 剛 |
(委託先) |
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九州大学 |
●小野勇一、桝本敏也 |
マレーシア森林研究所 |
●S.K.Yap・Laurence G.Kirton・Jurie Intachat・N.Namo−karan・Quah Eng Seng |
41,406千円
熱帯雨林にみられる驚異的な種多様性がどのようなメカニズムで維持されているのか、また複雑な種間関係が森林生態系の動的平衡とどのように関連しているかを明らかにすることは、熱帯雨林保全のための科学的な指針を与えるために不可欠な情報となる。さらに、生態学の分野で未解決の基本問題を解き明かすことにもなる。
東南アジアの熱帯林を構成する樹種を代表するのはフタバガキ科の植物である.マレー名でカプールとよばれるDryobalanops aromatica Gaertn.f.もフタバガキ科の高木である。そこでカプールの種子が落ちた後の稚樹の定着過程の調査をマレーシア森林研究所内の保護林内にあるカプールの植林と、その近くのカプールを全く含まない植林地で行った。種子が落下した段階で、約90%がすでに昆虫による被食を受け発芽能力を失っていた.また、林床においた種子や移植した芽生えの死亡率はきわめて高く3週間以内に全ての種子が死亡し、芽生えの死亡率は日あたり約3%であった。齧歯類とシロアリによる被食が主な死亡要因であった。
一方、パソー森林保護区に設定された50haプロットで直径1cm以上の樹木の空間分布を調査したところ、ウルシ科のPentaspadon motleyi(マレー名:ペロング)は親木の近傍に直径2.5cm以下の稚樹が存在しないことがわかった.しかし、実生の生存率は同種の最近隣の親木からの距離や実生個体の密度によって影響を受けず、むしろその場所の光環境と関係していることが示された.
熱帯林、マレーシア、植物と動物の相互作用、生物多様性、稚樹の定着